相州行光(刀工)


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 藤三郎行光(とうさぶろうゆきみつ)

鎌倉の刀工
新藤五国光の門人で、五郎正宗の父。

 生涯

  • 現在の定説では、相州正宗の父とする。
    1.新藤五国光の子、2.国光の四男、3.国光と父子の契を交わした、4.大進坊と同人、5.大進坊の弟、6.豊後行平の子など異説が多い。
  • 通称、藤三郎。
  • 正治元年(1199年)生まれ、弘安3年(1270年)没というが、年記銘からは嘉元(1303)~建武(1334)まで時代は下がるとみられる。

    弘安3年是歳 鎌倉刀鍛冶行光卒ス
    行光 国光之子 藤三郎 承応頃二十五才正治元生弘安三死八十七才
    古刀銘尽大全 相模國)

    行光 相州鎌倉住人藤三郎ト云、正宗父 文永頃
    古刀銘尽大全 諸国鍛冶上々作)

  • 銘は「行光」、「鎌倉住人行光」、「相模国住人行光」、「鎌倉住藤三郎行光」、「相州鎌倉住人行光作」など。
  • 相州伝に山城伝の影響を与えた。

 著名刀

  • 太刀で在銘は皆無と言ってよく、すべて無銘の極めもの。
  • 身幅が広くなく反り強く刃紋も直刃かほつれ刃、小乱のおとなしい出来を前期とする。後期は身幅広めになり、反り少なく刃紋が大模様になり沸多く金筋・稲妻を交えた派手な出来になる。
  • 短刀においても同様で、身幅の狭い筍反りであった短刀を身幅広く反りのある剣形に変えたのは行光とされる。

 御物国宝

短刀
銘「行光」旧皇室御物。宮内庁三の丸尚蔵館所蔵
短刀
銘「行光」 長26.21cm。平造、三つ棟、内反り。目釘孔1個、目釘孔の下中央に「行光」二字銘。加賀前田家伝来。昭和6年1月19日重要文化財指定、昭和29年3月20日国宝指定。東京国立博物館所蔵

 重要文化財

脇差
無銘 伝相州行光作。大正13年4月15日重要文化財指定。黒鮫柄黒漆鞘小サ刀拵が附く。久能山東照宮所蔵
無銘伝行光。長71.7cm、反り1.8cm。昭和27年7月19日重要文化財指定。なかごは大磨上で僅かに旧茎を残す。先切る。目釘孔3個。黒川古文化研究所所蔵
無銘伝行光。長72.1cm、反り2.1cm。昭和27年7月19日重要文化財指定。表裏に棒樋を搔き流す。なかご大磨上げ、先切る。目釘孔2個。黒川古文化研究所所蔵
無銘伝行光。長71.5cm、反り2.4cm。昭和32年2月19日重要文化財指定。なかご大磨上、先栗尻。目釘孔1個。株式会社ブレストシーブ所蔵
無銘伝行光。昭和36年6月30日重要文化財指定。相州刀美術博物館所蔵

 その他

短刀
無銘 作州津山松平家 行光。長27,5cm、反り0.13cm。五三の桐紋が逆さに付き、後藤家の揃金具が附く。津山松平家の初代越後守松平宣富(陸奥白河藩主松平直矩の三男)が、享保3年(1718年)4月17日就封の挨拶に登城した際に8代将軍吉宗より下賜されたものという。ただし津山松平家由来のもので桐紋がついているのは結城秀康が秀吉から拝領したためという。東京富士美術館所蔵
無銘伝行光。長69.8cm、反り2.2cm。特別重要刀剣。伊予西条松平家伝来。
無銘伝行光。長71.3cm、反り2cm。享保6年の本阿弥光忠の代金子七十枚の折紙が附く。安芸広島浅野家伝来。特別重要刀剣
大磨上無銘伝行光。長71.9cm、反り1.8cm。鹿島藩主佩刀といわれ鹿島鍋島家に伝えられたもの。昭和30年1月1日佐賀県重要文化財指定。

 享保名物

不動行光
在銘。現存、個人蔵
矢目行光
在銘
佐藤行光
無銘極め
後藤行光
無銘極め
綾小路行光
あやのこうじゆきみつ。秀吉所持。三成が拝領、三成は綾小路大納言に献上し、それが尾張徳川家に伝わり、南部家に贈ったとも。または、もとは長宗我部盛親の愛刀だったが、大坂落城の際に京都に逃げ、綾小路付近で取り落としてしまったものという。井伊直孝に探すよう頼む。直孝は、探しだした後尾張家に献上。そこから南部家に贈られたという。いずれにしろ南部家に伝わった。「亀甲貞宗」の項参照。

 同名別人

 源藤次行光

  • 鎌倉時代後期の文永年間に相模鎌倉山ノ内に住して活躍した鎌倉地鍛冶。藤三郎行光とは別人。
太刀
銘「文永八年八月吉日 行光」長75.8cm、反り3.07cm。東京富士美術館所蔵

 関連項目


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