静嘉堂文庫
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静嘉堂文庫(せいかどうぶんこ)
公益財団法人静嘉堂が運営する専門図書館及び美術館
概要
- 静嘉堂文庫は、三菱財閥の第2代総帥岩崎弥之助、および第4代総帥岩崎小弥太父子の所有した庭園と遺品の古典籍・古美術コレクションを基礎として発足した財団法人静嘉堂の運営である。
- 名称の「静嘉堂」は、岩崎弥之助の号に由来する。
中国の「詩経」の大雅、既酔編の「其告維何、籩豆靜嘉(へんとうせいか)の句から採ったもので、籩豆(先祖への霊前の供物)が美しく整うという意味。
歴史
- 静嘉堂文庫は、岩崎弥之助が1892年頃に自邸内に創設した文庫「静嘉堂」を起源とする。
岩崎弥之助
- 岩崎弥太郎の実弟として生まれた弥之助は、土佐藩校の致道館を卒業後、明治2年(1869年)大阪に出て、明治4年(1871年)に重野安繹(成斎)の私塾成達書院に入門し、漢学を学んでいる。
- 恩師である重野安繹の研究を援助する目的から古典籍の収集を始め、和漢の古書や古美術品の収集を熱心に行う。明治40年(1907年)には清の集書家陸心源の皕宋楼旧蔵書4万数千冊を購入し、宋・元の版本多数を含む貴重なコレクションが文庫にもたらされた。
- のち、自邸内にこれら古典籍を収蔵する文庫を設けた。これが「静嘉堂文庫」である。
- 岩崎弥之助は古典籍に加えて書画・茶道具・刀剣などの古美術を多数収集し、これらの蒐集品は明治41年(1908年)に弥之助の死後、長男・岩崎小弥太に引き継がれる。
岩崎小弥太
- 岩崎小弥太は父の遺志を引き継いで文庫を拡充し、弥之助の十七回忌にあたる大正13年(1924年)、世田谷区岡本にある弥之助の墓の隣接地に桜井小太郎の設計で静嘉堂文庫を建設、広く研究者への公開を開始した。
- 岩崎小弥太は自ら「巨陶」と号し、とくに陶磁器の蒐集に力を入れ、中でも「曜変天目茶碗」はその白眉である。しかし生前の小弥太は恐れ多いとして一度も曜変天目を使わなかったという。「稲葉天目」の項参照。
- 昭和15年(1940年)、小弥太は財団法人静嘉堂を創立、蔵書や文庫の施設など一切を財団に寄付して岩崎家の家産から切り離した。のち昭和20年(1945年)小弥太の死後、故人の遺志により、国宝・重要文化財を中心とする優品が孝子夫人から財団に寄贈され、さらに昭和50年(1975)、孝子夫人の死去に際して同家に残されていた収蔵品の全てと鑑賞室等の施設が、岩﨑忠雄氏より寄贈された。
所蔵品
- 国宝・重要文化財を含む数多くの古典籍と古美術品からなる文庫の所蔵品は、昭和52年(1977年)より一般公開されており、現在では静嘉堂文庫美術館として常設の美術館になっている。
なお従兄弟に当たる三菱財閥第3代総帥岩崎久弥が創設したのが東洋文庫であり、こちらは東洋学専門図書館となっている。
文庫長
- 初代:重野安繹
- 二代:諸橋轍次(1921年~)
- :丸山季夫(~1970年)
- :米山寅太郎(1970年~2007年?)
- :中根千枝(~2015年)
- :河野元昭(2015年10月~)
収蔵品
- ※ごく一部を抜粋
国宝
- 太刀
- 銘「包永」。1931年(昭和6年)12月24日重要文化財指定、1952年(昭和27年)11月22日国宝指定。赤星鉄馬旧蔵。
- 曜変天目茶碗
- 「稲葉天目」の項参照。
- 源氏物語関屋
- 紙本金地著色源氏物語関屋及澪標図 俵屋宗達筆 六曲屏風一双。昭和15年(1940年)5月3日旧国宝指定、昭和26年(1951年)6月9日国宝指定。岩崎小弥太旧蔵。
- 太田切
- 倭漢朗詠抄 巻下残巻(彩牋)。昭和17年(1942年)6月26日旧国宝指定、昭和27年(1952年)11月13日指定。岩崎小弥太旧蔵。
重要文化財
- 太刀
- 銘「□□五月六日 友成」。昭和16年(1941年)7月3日旧国宝指定。
- 太刀
- 銘「安綱」。保科家伝来。昭和15年(1940年)5月3日旧国宝指定。岩崎小弥太旧蔵。
- 太刀
- 銘「行光」。昭和17年(1942年)6月26日旧国宝指定。岩崎小弥太旧蔵。
- 太刀
- 銘「国光」。新藤五国光。昭和11年(1936年)5月6日旧国宝指定。赤星鉄馬旧蔵。
- 太刀
- 銘「真長」昭和8年(1933年)1月23日旧国宝指定。岩崎久弥旧蔵。
- 太刀
- 銘「宝寿」昭和15年(1940年)5月3日旧国宝指定。岩崎小弥太旧蔵。
- 短刀
- 銘「安吉」昭和15年(1940年)5月3日旧国宝指定。岩崎小弥太旧蔵。
- 滝川高綱
- 太刀 銘高綱。静嘉堂文庫美術館 | 古備前高綱太刀 重文指定日も同じで、恐らく次の高綱と同物だと思われる。
- 太刀
- 銘「高綱」(附:打刀拵)。昭和27年(1952年)7月19日指定。岩崎小弥太旧蔵。
その他
関連項目
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