五条国永(刀工)
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国永(くになが)
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生涯
- 通称孫太郎、太秦と称す。
- 三条小鍛冶宗近の弟子と伝わるが謎が多く、未だに確たる伝承は明らかになっていない。
- 生まれについても兼永の弟または子という説がある。
- 能阿弥本銘尽によれば、「彼国永ハ保元ノ乱時 村上ノ太郎長持是ヲハク」とあり、長暦年間よりは後の活躍と見られている。
- 国永の活動期間は、年号では寛仁(1017~1020年)、長元(1028~1036年)~天喜(1053~1058年)年間ということになる。
- また寛政8年の「本朝鍛冶考」では、後一条天皇の御宇(在位1016~1036年)の人で三条宗近の弟子有国の子とし、後白河法皇の
龍膽丸 (竜胆丸)、菊丸の作者とする。「古今銘尽」では宗近の門人三条在国の次男で、兼永の弟という。
- つまりまとめると以下のような説があることになる。
- 兼永の弟
- 兼永の子
- 三条宗近の弟子有国の子
- 三条宗近の弟子有国の次男、兼永の弟
宗近─┬─吉家[寛弘] │ ├─有国[寛弘]─兼永[長元]─┬─国永[天喜] │ ├─兼次[永承] ├─宗則 └─兼安[永承] │ ┌─眞國[延久] ├─眞利[長久]─┤ │ └─宗永 ├─宗利───宗忠 助宗[平治] │ 宗親 └─近村[長久] 守家 ※諸説あり。[]は推定活動年間 ※古刀期の刀工の相互関係については、年紀銘などからの類推が多くほとんどわかっていない。
- 著名作に鶴丸国永、竜胆丸、陵丸、菊丸
鍛冶名字考
國永 此作太刀保元ノ乱時村上太郎近国改名長盛帯シ清野三郎入道持シ、
同作ノ太刀城陸奥ノ太郎近延持シ弘安ノ合戦ニ□□ク□其後サカミ禅門祟演貞時帯之
竜膽ヲサヤニスカシタル故ニリンダウトナヅク又ミサゝギトモ云又鶴丸ト号ス
同作ノメイハ目ヌキトシリノ下ニウツフツウニアカリタリ
世ニハ国永二人アリ此作ハ國ノ字ミシカシ今一人ハ國ノ字ナカシ此作ハ近則改名ナリ
此作太刀十三振刀廿三腰日夲ニアル宝物也
- 現代文に読み下すと次のようになる。
- この作(刀工五条国永)の太刀、保元の乱の時に村上太郎近国(改め長盛)が帯び、その後清野三郎入道が所持した。
- 同作(五条国永)の太刀、城陸奥ノ太郎近延が所持し、弘安の合戦に?その後、相模禅門(北条貞時)が帯びた。竜胆を鞘に透かし彫りにしていたために「竜胆」と名付けた、または「ミササギ(陵?)」ともいい、あるいは「鶴丸」とも号した。
- 同作(五条国永)の銘は、目貫と尻の下に打つ、「フツウニアカリタリ」不明(中心尻の形状か)
- 世に刀工「国永」は2人いるとされ、一人(五条国永)は「國」の字が短く、もう一人は「國」の字が長い。
- この作(五条国永)は近則が改名したもので、太刀13振、刀23腰が存在する。
- これには諸説あり、上記1(この作…保元の乱…)と2(同作…城陸奥ノ太郎)が別の太刀について述べているのか、あるいは同物について述べているのかという二通りの解釈ができる。ただし3(同作の銘は目貫と…)の書き方を見れば、2で「同作」と続けている部分は1とは別の太刀について述べている解釈するのが一般的であると思われる。
- その場合は次のような内容となり、村上→清野所持太刀と、城太郎→北条貞時所持太刀(竜胆・鶴丸)は別物となる。
- これが正しいかどうかはともかく、「鍛冶名字考」の書かれた当時、あるいは著者の認識はこうであったということである。
銘
- 有銘作が極端に少ない。また銘にもばらつきがある。
- 「国」銘:クニガマエの中に玉の字を切る。「玉クニ銘」と呼ばれる。
- 「乂一」銘:国字のクニガマエの中が乂に一となる。
- 「氵戈」銘:クニガマエの中が、さんずいに「戈」。国の古字「國」に近い形。
著名作
- 鶴丸国永
- 銘「国永」2尺5寸9分半。仙台藩主伊達宗基から明治天皇へ献上。御物
- 剣
- 銘「国永」長32.1cm。両鎬造、細身、剣頭張らず、鎬高く平肉つく。帽子鎬にほとんど焼詰め、先小丸。彫物表裏に樋をかき流す。なかご生ぶ、先栗尻、鑢目勝手下がり、鷹羽、桧垣など交じり、目釘穴1個。目釘孔の下中央に「國永」二字銘。昭和31年(1956年)6月28日に重要文化財指定。指定時所有者堀田武則氏。昭和55年(1980年)時点所有者田口正義氏
国指定文化財等データベース:剣〈銘国永/〉 - 太刀
- 二尺五寸。鎬造、庵棟。鋩子小丸。目釘孔1個。生ぶなかごで「国永」二字銘。伊勢神宮
豊受 大神宮所蔵。享保14年(1729年)8代将軍徳川吉宗の奉納。 - 太刀
- 銘「国永」二尺二寸九分。重要美術品指定、宇和島伊達家侯爵伊達宗彰所持。
- 太刀
- 伯爵伊東巳代治所持
- 太刀
- 木村貞造氏所持
- 太刀
- 備前岡山藩池田家伝来
- 太刀
- 銘「合田口等利傳国永作」合田口は粟田口、等利傳は砦であるという。河瀬虎三郎旧蔵。
上記著名作について、同物重複記載の可能性がありますが、長さ、旧蔵者などの情報がなく確認が取れないため、念のためにこちらで確認したものをすべて載せています。
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