御物調書
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御物調書(ぎょぶつちょうしょ)
皇室に伝わる御由緒物の目録
一般に「御物調書」と呼ばれているが、宮内庁内での扱いは行政文書「皇位とともに伝わるべき由緒ある物の一覧」である。
文書は三部構成になっており、「御物調書」とは二部の最初(2ページ目)に表記されている文書タイトルである。この二部のみを御物調書とみなすこともできるが、その場合、1ページ目(第一部)に記載される三種の神器や壺切の御剣、宮中三殿、および23ページ目(第三部)の皇后陛下御正装の装身具類が含まれないことになる。
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概要
昭和64年(1989年)に昭和天皇が崩御された際、大部分の御物は相続に伴って皇嗣である第125代天皇から国庫に物納された。
この際に、「三種の神器」をはじめとする皇室にゆかりの深い品々や、歴代天皇・皇族の肖像、遺筆、儀式に用いる刀剣類などの、皇室経済法7条にいう「皇位とともに伝わるべき由緒ある物(『御由緒物』)」については、国庫への帰属から除かれた。
この分類の経緯など詳細については「御由緒物」の項を参照
この「皇位とともに伝わるべき由緒ある物(御由緒物)」は、一般に「御物」と呼ばれているが、宮内庁(及び関連法規上)での扱いは上述の通り「御由緒物」である。
法律上規定はあったものの、その範囲を特定したのは昭和天皇崩御後の平成元年(1989年)である。
由緒ある物として確定をしたのは昨年のいわゆる先帝陛下(昭和天皇)の崩御に伴いまして御相続関係をどうするかということを明確にしなければならない時点で、由緒ある物の範囲というものを確定いたしたわけでございます。
参議院会議録情報 第118回国会 地方行政委員会 第2号
いわゆる「御物調書(皇位とともに伝わるべき由緒ある物の一覧)」とは、平成元年(1989年)にこれら御由緒物を調査した目録のことである。
あくまで行政文書であり、一般に刊行されたものではない。
一覧
- 御由緒物である御物には、番号が附せられ、それぞれ御物名、数量、作者・筆者、制作年月、御物収納年月、備考の欄に分けて記載されている。
- ※下記は平成元年(1989年)に作成された御物調書であり、令和元年以降、文中での「今上陛下」とは先帝である現上皇陛下(明仁)を指す。
三種の神器など
- ※タイトルは無し。便宜上「三種の神器など」とする。
- 【※三種の神器など】:
・八咫鏡(形代を含む) 三種の神器
・草薙剣(形代を含む) 三種の神器
・八坂瓊曲玉 三種の神器
・壺切の御剣 皇太子相伝の御剣
・宮中三殿(賢所、皇霊殿、神殿及び附属施設) 明治19年竣工
- 計1点
八咫鏡、草薙剣(剣)、八坂瓊曲玉(璽)の「三種の神器」のほか、立太子の際に皇太子に相伝される壺切の御剣、宮中三殿が含まれ、他の御由緒物とは別格の扱いになっていることがわかる。また剣及び璽については、剣璽等承継の儀(剣璽渡御の儀)で継承される。
元文書では、項目ごとの付番のほか項目ごとに件数と点数が示されており、この三種の神器などについてのみ1項目に対して複数件数がついている(5件+555件+20件=580件)。元文書に従えば項目数と表記するほうが正しいかと思われるが、国会答弁でも「約六百点」という表現が使われていることから、ここでは便宜上「~点」と表示する。
御物調書
- 明治11年北陸東海御巡幸図(額)
- 八幡行幸之図(額)
- 孝明天皇加茂行幸之図(額)
- 朝覲御行之図巻物(巻画)
- 鉄道開業式の図(額)
- 畝傍山稜図(巻絵)
- 初度行幸之図(巻絵)
- 明治元年氷川神社行幸絵巻物
- 大正御大礼絵巻
- 大正天皇御即位大嘗祭絵巻
- 神宮祭典行事図会(巻絵)
- 明治2年行幸絵巻
- 寛永三年丙寅東福門院入内に付後水尾天皇二条へ行幸鹵簿及び徳川二代将軍秀忠上洛絵巻
- 仙洞御所御苑之図(巻画)
- 明治元年10月鳳輩江戸二重橋渡御絵巻
- 帝鑑図説(画帖)
- 新嘗祭之図(掛画)
- 嵐山東山景図屏風
- 松林仙閣図屏風
- 銀装大納言公任捧梅花図六枚折屏風
- 小松島景鳴門景屏風
- 祥瑞之図屏風
- 明治天皇御料・今上陛下
山城国久国御太刀
先帝例祭(黒田清隆献上) - 明治天皇御料・今上陛下
相模国正宗御刀(名物 会津正宗)
旬祭三殿御拝(有栖川宮献上) - 明治天皇御料・今上陛下
備前国助平御太刀
元始祭(岩崎弥之助献上) - 菊御作御太刀
昭和天皇即位礼(黒田長成献上) - 明治天皇御料備前国真長御太刀
春秋皇霊祭(藤堂高猷献上) - 山城国吉光御太刀
神嘗祭(権大納言徳川茂徳献上) ※一期一振 - 大和国天国御太刀(小烏丸と号す)
新嘗祭(宗重正献上) - 備前国信房御太刀(十萬束と号す)
元始祭(徳川家達献上) - 山城国国永御太刀(名物 鶴丸)
歳旦祭(伊達宗基献上) - 山城国宗近御太刀
先帝例祭(酒井忠道献上) - 上皇昼御座御剣備前国長光御太刀
昼御座御剣 - 上皇小御所出御御剣備前国包平御太刀
御寝間御剣(徳川家重献上) - 古今伝授大和国天国御太刀
御代々古今伝授の節御佩用 - 菊御作御太刀
昭和天皇即位礼控(元田永孚献上) - 明治天皇御料備前国景光景政御太刀
祈年祭(川村純義献上) - 大正天皇御料相模国行光御太刀
神嘗祭(伊藤博邦献上) - 山城国国綱御太刀(名物 鬼丸)
新嘗祭(御取寄せ) - 備前国則宗御太刀
祈年祭(浅野長勲献上) - 備前国友成御太刀(鶯丸と号す)
歳旦祭(宮内大臣田中光顕献上) - 備前国長光御太刀
旬祭(伊藤博邦献上) - 光格天皇御料
相模国正宗御脇指(名物 小池正宗)
賢所御神楽(徳川家斉献上) - 後白河天皇御剣
東宮御相伝 賢所御拝 - 豊後国行平御太刀
東宮御相伝 賢所御拝 - 豊後国行平御太刀
昼御座御剣 - 備前国長光御太刀
御寝間御剣 - 孝明天皇御料
相模国総宗御脇指
賢所御神楽(津軽承昭献上) - 大正天皇御守刀美作国正守短刀
天皇陛下御枕刀(御誕生の節進ぜられ) - 山城国吉光御短刀(名物 平野藤四郎)
皇后陛下御枕刀(前田斉泰献上)
更新中です。刀剣分完了
- 計555点
皇后陛下御正装の装身具類
- ※備考:明治天皇が皇后(昭憲皇太后)にお貸し下げになって以来、代々天皇が皇后に対してお貸し下げになるものである。
- 御冠(ダイヤ):A型
- 〃(菊型):B型
- 御頸飾(ダイヤ三条):A型
- 〃(真珠4条):B型
- 御胸飾(ダイヤ):A型
- 御襟止(真珠、ダイヤ、円型):A型
- 〃(エメラルド、大、中鳳凰型):A型
- 〃(菊型大1、小2):B型
- 〃(黒真珠、ダイヤ、菊型):B型
- 御腕輪(黄色ダイヤ):A型
- 〃(ダイヤ):A型
- 〃(エメラルド、ダイヤ、菊型):B型
- 御耳飾(ダイヤ):A型
- 〃(菊型):B型
- 御指輪(サファイアダイヤ囲み):A型
- 〃(エメラルドダイヤ囲み):A型
- 〃(ダイヤ2ヶ、S字型):B型
- 〃(サファイア、ダイヤ):B型
- 御扇子(レース張りダイヤ、白ベッコウ骨):A型
- 御手さげ(金網製):B型
- 計20点
※備考:御行事の種類、場所、時刻等によって、A型、B型又は附属品と交換して御使用になる。
- 「皇族のアクセサリ」参照のこと
関連項目
- 「宮中祭祀」:皇居宮中で行われる祭祀と使用刀剣
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