銘尽


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 観智院本銘尽(かんちいんほんめいづくし)

観智院銘尽
以南洞院御秘蔵本令誂行蔵坊
幸順寫之事
應永卅年十二月廿一日□之
銘尽(めいづくし)

  • 書籍の概要、伝来などについては「観智院本銘尽」で述べることとし、この項では記述内容について述べる。

 概要

  • 正和5年(1316年)に記された現存最古の刀剣書。
  • 鎌倉期に成立した「正和銘尽」の写しで、現存するわが国最古の刀剣書となる。
  • 東寺(教王護国寺)の塔頭の一つ、観智院が旧蔵していたことから「観智院本銘尽」とも称される。

 写本の構成概要

  • そもそも写本であるために内容に齟齬があるが、写本の内容を元に類推すると概ね次のような構成であると考えられている。
    1. 序文
    2. 神代鍛冶
    3. 日本國鍛冶銘
    4. 神代より当代まで上手之事


 写本の構成

 正和五年著作の部

  • 2枚目に「古今諸国鍛冶之部」と出したもので、9枚まで続く。
  • 「古今諸国鍛冶之銘」と題した箇所では52人の刀工を掲げ、とりわけ粟田口藤四郎吉光や大和の中次郎国正など42人の刀工については、刀の中心形を上部に図示、その下に作名、国、系統、時代、作風の特徴を記している。
    • この中に、「正和五年まではゝゝ年なり」と書いた刀工が14工ある。

 銘尽の部

  • 「銘尽」9枚目の裏から始まる序文。漢文で三種の神器の御剣から天の叢雲の剣などを取り上げる。
  • 「神代鍛冶」と題して8工

    藤戸、天藤、
    国重、海中、
    天国、天雲、
    宗弘、長光

  • 「日本國鍛冶銘」と題して13枚続く。

    安綱、月山
    天国、行平
    神息
    近霧、定秀
    正恒
    安則、実次
    日乗、友成
    則常、助包
    宗近、吉家
    世安
    近依、則安
    有氏、光長
    信房
    宗吉、兼平
    助宗
    助成、助近
    瀧、一
    包林、一、一
    當次、し太郎
    為吉、國□
    国光、吉光
    國延、行國
    青井貞次、青井恒次
    恒光、次家
    永包、延房
    浪平、亮平
    亮包、亮経
    則宗、重弘
    重利、泉水
    一、□吉
    助重、真清
    但次、十

    安□、吉包
    吉房、吉満
    吉康、助久
    国友、国永
    助長、光近
    安次、小安
    東大寺、則弘
    介成、則恒
    国吉、成家
    有永、行仁
    戸打、□
    上一、吉真、助大上
    介成、近房、永正
    国次、基近、國弘
    國清、善次、景宗
    兼永、宗秀、貞守
    宗末、吉宗、助長
    守助、末行、助次
    助包、包助、真忠
    吉光吉光長光
    真信、定利、全王
    國介、包杖、玉
    勝三郎、行國、則武
    則景、吉景、吉國
    則光、吉家、忠真
    真之、為長、近次
    真吉、真貞、光吉
    重則、守久、□
    □近、蒲生、則助
    景依、成次、次忠
    俊次、久次、青井行次
    貞吉、元久、久元
    守光、吉秀、兼光
    景久、真景、則行
    真久、宗則、國守
    助國、助守、國忠
    守國、國貞、國真
    景政、重助、守行
    守清、貞國、高真
    高実、清包、久国
    久行、久信、光守?
    光包、守包、行秀
    清利、清包、助守
    守利、常伴、吉末
    長宗、宗真、真包
    真元、真助、末真
    吉真、真末、真有
    真重、真友、□國
    國助、安清、安利
    国重、信包、重包
    禅、長末、末吉
    吉末、吉久、正景
    景末、景長、景宗
    景、景次、景友
    宗景、近景、近友
    近末、末近、光包
    末正、則吉、正吉
    清長、俊恒、清定
    保弘、友包、友末
    友正、友定、友廣?
    友吉、友景、長元
    長秀、友秀、真依
    正宗、宗恒

  • うち27枚:國盛より後鳥羽院御宇被召抜鍛冶十二月結番次第ノ項終迄
  • うち42枚:神代より当代まで上手之事 吉光
  • 枚数にして19枚半、刀工は349工、他に菊御作や番鍛冶などが続く。

 時代別の部

  • 34枚~38枚まで、3期に分けて記述
    • 大宝年中:9工

      友光
      天国
      文壽
      藤戸
      神息
      真守
      實次 大銅 盛國

 国別の部

  • 21枚目から5枚、41枚目表から2枚
  • 備前国鍛冶次第不同:23枚表
  • 備中国鍛冶次第不同24枚裏
  • 筑紫鍛冶次第不同:25枚表
  • 陸奥国鍛冶次第不同:26枚裏より飛んで40枚表まで
  • 伯耆国鍛冶次第不同:30枚表
  • 散在国:40枚裏
  • 不知国鍛冶:40枚裏
  • 剣作鍛冶前後不同:41枚表
  • 21枚~23枚:青井(青江)系図、粟田口系図、千手院系図、来系図、相模鍛冶の五系統

 断片的記載

  • 系図
  • 巻首正宗以下の一組。1枚目首行に「正宗五郎入道」とあり、貞宗以下十四工を上げる

    正宗 五郎入道、貞宗 彦四郎、
    国盛、
    助盛 国盛の子、
    国宗、定利 越前國、国長、
      延寿太郎、
    国信、
    国吉、定俊、兼永、中次郎、了戒
    光包、長光、弟子

  • 備前備中鍛冶交名

    備前備中雑鍛冶三十六名
    助則、則包、安則、永包、吉家、宗忠、
    守恒、家安、介成、高包、包助、有成?
    実忠、重永、有行、延忠、友安、行真
    家忠、助久、景則、家俊、康貞、景吉
    貞光、守俊、景安、長光光忠、守家
    弘次、守重、元家、景光、則光、行実

  • 太刀刀作善悪日之事

    太刀刀作善□日之事
    吉日
    悪日

  • 古今諸国鍛冶之銘

    古今諸国鍛冶之銘

 名物

  • 源氏重代のひげきりの太刀膝切)、平家重代の膝丸の太刀、能登守教経の桜丸(古備前友成作)、九郎判官義経の薄緑(長円作)などが取り上げられている。
  • 他には、現在すでに伝承が失われている名刀の名も記載されている。

    抜丸、菊丸、蝶丸、とすい丸、五輪丸、おもなし丸、御作丸、おと丸、水細丸、鬼丸、桜丸、とびきり丸、細切丸、遠雁丸、御剣丸、三くち丸、鬼丸、あざ丸など

藤戸
白□□の大明神二百 □□き槇崎八ニ破タリ 一尺八寸御劍也
天藤
春日大師?□すく 錊也二尺八寸御劍
国重
宇佐明神 槇崎六破タり
海中
龍王 二尺二寸劍也
天国
帝尺之劍 村雲御剣作
天雲
あま□や□切を作□□
宗弘
□う雲鬼号錊 御安やは?の劍と号
長光
鬼槇崎三破二尺御剣
藤源次
さかミの國三浦のすけ重代□□□ □小太刀の作やきはハ□□やまと太刀
開東
遠江國住めいハ開□□□□□□ □□□□いろはたん□□□
髭切
伯耆鍛冶。上一諷誦「ひけきりお作」
田村将軍
伯耆鍛冶 安綱 田村将軍□□矢此劍作上手也(そはや
抜丸
伯耆鍛冶 眞守 安綱子 平家のぬけ丸作(抜丸
真守
平家抜丸
国永
菊丸作
宗近
てう丸作(蝶丸
諷誦
ひけきりを作?(髭切
定秀
とすい丸作 五輪丸作之 佐々木重代
助包
備前 □□丸作(猫丸?
助平
備前 保昌懐剣
神息
□□丸作 倻作丸?
国友
粟田口 お□丸作
國安
粟田口 水細丸
国綱
□□きり 鬼丸作
粟田口国吉
住吉大明神 御剣作
友成
能登殿 櫻丸作
則宗
備前 □□□丸(とびきり?
正恒
足利□三郎 細切丸作
信房
備前 遠鳫丸作(遠雁丸
国行
鎌倉八幡 御剣作
高平
備前畠山 □平作
沼間源藤次
三くち丸 作
藤源次太夫
あ□ ミどりお作(青緑
国宗
九郎判官うす ミどりお作(薄緑
安綱
利仁御剣 作上手也
天国
村雲 劍作
藤戸
白門□の大明神 御劍作
天藤
春日大神 御剣作

 関連項目

  • 書籍の概要、伝来などについては「観智院本銘尽」を参照のこと。

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