天下五剣
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天下五剣(てんかごけん / てんがごけん)
概要
- 「天下五剣」とは、次の五口の刀を指す。
号(名前) | 指定 | 種類 | 銘 | サイズ |
御物 | 太刀 | 國綱 | 刃長78.2cm・反り3.2cm | |
国宝 | 太刀 | 三条 | 刃長80cm・反り2.7cm | |
国宝 | 太刀 | 安綱 | 刃長79.9cm・反り2.7cm | |
国宝 | 太刀 | 光世作 | 刃長65.75cm・反り2.7cm | |
重文 | 太刀 | 恒次 | 刃長81.1cm・反り3.0cm |
由来
- 室町時代にはすでに天下五剣として選ばれていたが、選定者は不明であり、刀剣書の類にも「天下五剣」との記載はない。恐らく由緒や伝来を加味したものが広く一般に膾炙したものであると考えられる。
Wikipediaでは、天下三名槍と合わせて明治以降に呼ばれるようになったものとしているが、もしそうであれば「天下」を”てんが”と濁音読みするのは違和感が残る。
- 明治以降の刀剣書籍において散見され、語呂の良さや厨二病的なネーミングから近年刊行される日本刀に関する書籍では必ずといっていいほど取り扱われるが、命名の由来については不明なままである。
国宝・重要文化財指定
- 数珠丸恒次は大正11年(1922年)に旧国宝に指定され、その後昭和25年(1950年)4月13日の文化財保護法施行により重要文化財に再指定された。
- なお鬼丸国綱は御物(天皇の持ち物)であるため慣例として重要文化財(国宝含む)指定を受けない。また一般公開されることも稀である。
選定理由
- なぜこの五口が天下五剣と呼ばれるに至ったのかについて具体的に記した書物は見つかっていない。
- 由来名刀と呼ばれるものは、単純に姿かたちや斬れ味だけではなく、その刀を所持した人物であったり、または刀に付随する伝承が重視される。天下五剣は室町期には成立していたとされ、いずれの刀もその当時までに喧伝されるにふさわしい伝承を持っていたことが選定理由として大きいといわれている。
- その為、たとえば室町末期以降に急速に名前が売れ出し江戸期には「名物三作」とまで評価された藤四郎吉光、五郎正宗や郷義弘は選定されていない。相州伝が一口も選定されていない点も注意が必要だと思われる。
このことと、五剣がすべて太刀である点も合わせて、”五剣”の選定時期がそれより前と分かる。
- 時代とともに必要とされる刀は変遷し、その需要の変化とともに価値も変わったが、戦国期以前に評価の固まっていた天下五剣の評価は下がることがなく、むしろ名刀に求められるものを姿、伝承、伝来ともに満たすという意味で名刀の中の名刀であり続けたといえる。
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