諸国鍛冶系図


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 諸国鍛冶系図(しょこくかじけいず)

  • 原本は所在不明。
  • 三重大学所蔵本より、原本には押形図が載っていた可能性がある。

 内容

  • 群書類従所載の内容から、所有者または号が記載されたものを中心に抜粋する。
国綱
最明寺殿鬼丸前鬼丸此作也
友成
源義経金作、同能登守教経之櫻丸ニ君萬歳ト打此作也
包平
右大将箱王丸作者也
正恒
足利又太郎唯縄ノ綱切作人也
助平
保昌ノフトコロ太刀之作者ナリ
安綱
嵯峨天皇御宇、酒天童子ト云鬼ヲ切太刀
Table of Contents

 写本

 「諸国鍛冶系図写」

  • 三重大学教育学部日本史研究室保管
  • 異筆での奥書

    右一巻雖為秘蔵、色々依御懇望、如本写進物也
     慶長八年
      八月十八日

  • この三重大学所蔵本には、以下の特徴があるとする。
  1. 三重大学所蔵本の原本を写本した筆者の批判が附く

    コノクタリフシン、本ノママ候(この下り不審。元のまま

  2. 刀工それぞれに「疋」で相場が記入されている
  3. 原本に押形が記載されていた可能性がある

    ツノコトク、一モンシヨリスコシヤスリチカイニスリ申也(図の如く、一文字より少し鑢ちかいに摺り申す也

    いずれも『刀剣書の成立 -「諸国刀鍛冶系図写」を素材として(藤田達生 2000)』より抜粋。()内を補った。
  • 特徴的な項を抜粋する

    国綱 藤六左近、西明寺殿祟ノ鬼切此作也、工藤三郎左衛門尉万鬼同作、相模國内ニ住ノ時、真國ト銘ヲ打事有ト云

    群書類従所載版では「西明寺殿鬼丸前鬼丸此作也」と簡略に記されているが、こちらはかなり詳細な内容となっている。

    (備前)信包 号宇津宮重代ツキホリヲ作也、同子左近将監

 「諸国鍛冶系図」

  • 後に塙保己一による群書類従に収録された。
    • 巻第九百二十八:續群書類從 第32輯 上 雑部 〔7〕
  • 巻頭序文

    仰惟。寶劍也者三國傳来兵器。幸天下萬世矣。雖然。頃因其聞見所、不迨訛戻、殽至殽。譬如二字国俊国俊同作左文字士産知久州住謂之類是也。従弱冠昔志于此術。學熟而後、論撰於諸書収集采撫而究其眞贋。著在于簡篇傳讀者易識。蓋競臨潤谷。故廣□行以俟來哲矣。
      時慶長癸丑冬白南至敬一範序冩

  • 奥書

    右此巻雖為家々秘傳。依御執心。令相傳畢他言他見有間敷者也

    • 慶長癸丑(慶長18年)は1613年
  • この三重大学所蔵本に見られる転写者による批判や相場、押形などはなく、系図を中心としたあっさりした内容。名称は同じながら、別物としたほうがいい内容。

 「諸国鍛冶系図」

  • 西尾市岩瀬文庫所蔵
  • 元書写識語

    正徳甲午仲秋 穂雲軒主人芦洲先本書人
    右先本冠山大坂口住仲弥三右衛門殿方ニ而借用仕右鍛冶書本覚書為是ヲ写者也/船木氏又三郎所持
       敬当 剛
    右之一冊聊有麁略間敷者也/文化十一甲戌初秋 近政慎筆
    文政四巳仲冬日柳沢兵部様ヨリ拝領ス名乗
       敬当謹書

    • 正徳甲午は正徳4年(1714年)。文化11年は1814年。文政4年は1821年。
    • 所蔵本の写された時期は幕末~明治頃とする。
  • 所蔵印

    秋霜軒収蔵図書之記


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