朱銘長義


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 朱銘長義(しゅめいちょうぎ)

脇差
朱銘 長義
刃長31.2cm
重要文化財
妙國寺蔵(大阪府堺市、堺市博物館寄託)

  • 平造、三ッ棟
  • 表は素剣に爪、裏は護摩箸に爪の彫物。中心先ちかくに「長義」の朱銘が入る。

 由来

  • 朱銘にちなむ。

 来歴

 妙國寺

  • この「朱銘長義」を所蔵する大阪府堺市の妙國寺は、日蓮宗の本山。開基は三好之康(義賢、三好実休)。開山は日珖(にちこう)。
    日珖は天文元年、豪商油屋伊達常言の次男として堺で生まれる。長じて堺頂源寺(現西湊町長源寺)の二世日沾に師事し、17歳で園城寺(三井寺)、次いで比叡山延暦寺に学んだ。日蓮宗で紫衣を着たのは日珖が嚆矢とされる。
    後年、1579年(天正7年)に安土城下の浄厳院で行われた浄土宗と法華宗の宗論「安土宗論」にも出席している。結果浄土宗側の勝利となり、日珖は詫証文を書かされている。3年後に本能寺の変で信長が死ぬと、妙国寺は徳川家康の庇護を得、中山門流の上方3ヶ寺(本法寺・頂妙寺・妙国寺)のひとつとして栄えた。
  • 永禄4年(1561年)12月、当時京都頂妙寺3世を継いでいた日珖は、三好実休の帰依を受けこの地に伽藍建立を企図する。しかし実休は完成を見るまもなく、翌永禄5年3月に和泉(現岸和田市)の久米田の戦いで討ち死にしている。
    元々堺を支配下におさめた後に「堺に奇木あり」と聞いた実休は、この大蘇鉄のある一帯を別荘として整備しており、それを寄進し寺にしたという。ただし一説に大蘇鉄は別のところから移したものであり、三好家の本国阿波から、または高麗からともいう。
    この実休討ち死にの際の疵が名物実休光忠」に残り、のちに信長の問いかけに木津屋が見事「実休光忠」を言い当てるという逸話に登場する。実休の戒名は「妙國院殿光徳實休大居士」。
  • その後、実休から寄進を受けた大蘇鉄を含む東西三丁南北五丁の土地に、日珖の父である堺の豪商油屋伊達常言、さらに兄の常祐が伽藍建立の資金を寄進したことで、永禄9年(1566年)に造営開始、永禄11年(1568年)に完成する。広普山妙國寺と称し、のち霊元天皇より勅願寺と定められている。
    油屋は常言、常祐と続き、数々の名物を所有し名を残した。茶器では灰被天目、曜変天目、油屋釜、油屋肩衝、青磁柑子口花入などを所有した。

 霊木 大蘇鉄

  • 境内には樹齢1100年を超えるという大蘇鉄(ソテツ)があり、国指定の天然記念物となっている。この大蘇鉄には織田信長の逸話が付く。
  • それによれば、天正7年(1579年)大蘇鉄は信長が所望したことから安土城に移し替えられた。しかしある夜信長は庭で不思議な声を聞いたため森蘭丸に探らせたところ、この大蘇鉄が「堺に帰りたい帰りたい」と泣いていたという。信長は激怒し蘇鉄を切り倒すよう命じる。家臣が斧で切りつけたところ、大蘇鉄は切り口から鮮血を流し大蛇のごとく悶絶したといい(家臣がことどとく血を吐いて倒れたともいう)、これに恐れを成した信長は大蘇鉄を妙國寺に戻させたという。
  • この大蘇鉄にちなみ、妙國寺は「蘇鉄寺」とも呼ばれる。

 本能寺の変

  • 天正10年(1582年)の本能寺の変の際、信長の案内で京都を訪れた徳川家康はその後堺の地を訪れており、この妙國寺(松井友閑宅ともいう)に宿泊していた。変の一報を聞き、妙國寺の僧油屋親子の助けを得て難を逃れたという。
  • 「安土宗論」の詫証文は、その後、天正13年(1585年)7月になって秀吉の命により破棄されている。また天正14年(1586年)3月には上洛してきた大友宗麟が宿泊所として利用している。

 焼き討ち

  • 大坂夏の陣では、家康が滞在しているとの報を受けた豊臣方の大野道犬により焼き払われている。のち寛永5年(1628年)に3代将軍家光により再建された。

 堺事件

  • また幕末にはフランス人水兵13名の死傷者を出すに至った「堺事件」に関与した土佐藩士20名を切腹させる場としても使われた。フランス人立ち会いのもと11名まで切腹が行われたが、切腹した藩士が内蔵を投げつけるなどしたために切腹は中止された。9名は土佐に流刑となる(のち明治新政府の恩赦により帰郷している)。土佐藩士11名の墓所は妙國寺に置かれる予定であったが、勅願寺に切腹したものを葬るのは不都合という伊達宗城の意見により堺市内の宝珠院に置かれることとなった。




 朱銘長義


朱銘 長義

 朱銘長義

薙刀直し脇差
朱銘 長義

  • 薙刀直しの脇差。
  • 光味系本阿弥本阿弥光遜極めで、朱銘が入る。

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