天目茶碗
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天目茶碗(てんもくちゃわん)
茶の湯茶碗の一種
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概要
- 天目茶碗とは、茶の湯で用いられる茶碗の一種で、「天目釉」と称される黒色または柿色の鉄釉をかけて焼かれた陶磁器である。
- 全体的にすり鉢状で、口縁がくびれた独特の形状(鼈口)をしており、これが茶の保温に優れているとして愛好された。
現代では「茶碗」といえば飯茶碗を指すが、当時はこの茶碗を用いて喫茶(茶の湯)を行っていた。古来、日本では木製の食器が使用されていたが、平安~鎌倉時代に中国から茶碗をはじめとする磁器が輸入されるようになり、「茶碗」は磁器一般を指す言葉となった。のち安土桃山時代に国産磁器の生産が始まると、江戸時代には庶民にも茶碗(磁器)が広まり、やがて茶碗を飯茶碗として使用するようになった。
由来
- 天目茶碗とは日本での呼び名である。
- 鎌倉時代に、中国禅宗の中心であった浙江省の天目山に留学した禅僧が、喫茶の習慣とともにこの茶碗を日本に持ち帰った事から、鉄釉のかかった茶碗を「天目」と称したことに始まる。
- 実際には、後述するように福建省建陽市にあった建窯(簡体字: 建窑)で作られた茶碗であり、中国では「黒盞(こくさん、簡体字: 黒盏)」、「建盞(けんさん、簡体字: 建盏)」と呼ばれる。
ただし現代においては日本名を逆輸入した「天目茶碗」でも通用するため中国語版Wikipediaでも「天目茶碗」で立項されている。同ページでは、「お宝鑑定団」の三好長慶由来とされた天目茶碗についても記述されている。
書物
- 建武2年(1335年)の書物に「天目」の名が現れる。
- 「仏日庵公物目録」の第六紙に「窰変」という茶碗が記される。
湯盞一對窰変
鎌倉御前入御之時御引出物 貞治元年十一月廿九日
仏日庵は、8代執権北条時宗が創建した寺院の塔頭で、時宗の廟所でもある。貞治元年は1362年。
- 応永年間(1394~1427年)の「禅林小歌」
盤胡茲ノ盤ニハ建盞以堅石作也多居タリ油滴名功能也曜卞持光謝毒建鼈胡盞名国ニ湯盞名所用以可呑湯幅州盞名国ニ天目名山ニ立ツル
特徴
- 天目茶碗は、全体的に高台が低く小さく逆円錐状をしており安定性にかけるため、「天目台」あるいは「貴人台」とも呼ばれる専用の台に載せて使われる。
種類
建盞(けんさん)
- 現在の福建省建陽市にあった建窯で作られた茶碗。天目茶碗の総称としても用いられる。
「盞」は小さい茶碗の意味。
玳皮盞(たいひさん)
- 現在の江西省吉安県にあった吉州窯で作られた茶碗。
- 「
鼈盞 」または「玳皮天目」とも、「吉州天目」とも呼ばれ、建盞と双璧をなす。 - 器の表面に鼈甲のような紋様があるのが特徴である。
「玳皮」とは、玳瑁(タイマイ)の甲羅、つまり鼈甲を意味する。
- 「
文字 天目」、「鸞 天目」、「梅花 天目」が派生している。また木の葉を黒釉地に貼り付けて焼いた「木葉 天目」も珍重される。
関連項目
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