君台観左右帳記
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君台観左右帳記(くんだいかんそうちょうき)
室町時代の床飾りならびに中国画鑑賞に関する秘伝書
永正八年(1511年)
能阿弥相阿弥著
「君台観左右帳記」は室町将軍に仕えた同朋衆である能阿弥、相阿弥の著で、能阿弥によって整備され相阿弥によって完成されたとされる。
書名は、将軍の御座所を意味する台観に"君"を冠して敬称し、その左右を飾る品々の帳記という主旨である。
当時のわが国に盛んに舶載された中国絵画・工芸品の鑑定や座敷飾に関する秘伝書で、茶の湯や生け花に大きな影響を与えた。
内容
天目茶碗
建窯で作られ浙江省天目山で使われていた茶碗のこと。天目山に留学した僧が持ち帰り広まったという。
低く小さい輪高台で、全体としてはすり鉢形で口縁部がすっぽん口(鼈口)と呼ばれるくびれがあるのが特徴で、この形を天目形と呼ぶ。保温性に優れる。
当初は建窯で作られたものを指したが、その後江西省吉州窯の玳皮盞など他の窯で作られた茶碗も天目茶碗と呼ぶようになった。
高台(こうだい)が小さいため、必ず天目台(貴人台)に載せて使用する。
- 建盞
- 福建省建窯で作られたもの…曜変天目(国宝3点)、油滴天目(国宝1点)、灰被天目、禾目天目
- 玳皮盞
- たいひさん。江西省吉安、永和鎮の吉州窯で作られたもの。吉安天目、吉州天目とも。…木葉天目、文字天目、鸞天目
- 鳥盞天目
- うさん。胡盞。
系統本
- 「君台観左右帳記」の原本はすでに失われており、文明8年(1476年)の能阿弥の奥書がある「群書類従」本と、永正8年(1511年)相阿弥の奥書がある東北大学本が尤も原本に近いとされる。
- 能阿弥本
- 文明8年(1476年)3月12日の日付があり、大内左京大夫宛に書かれたもの。百花庵宗固(萩原宗固)が筆写したものと、大久保酉山の蔵本とを校合し、明治31年(1898年)に塙保己一が編集したものが「群書類従」に収録された。「群書類従」の遊戯部 巻361に収録されており、国立国会図書館デジタルコレクション - 群書類従. 第拾貳輯で閲覧できる。
- 相阿弥本
- 内容的に、能阿弥本に相阿弥が中心となって加筆したものとされる。
- 【東北大学本】:相阿弥奥書のあるものを永禄期に写したもの。
- 【博物館蔵版】:相阿弥奥書の松翁居士による写本を、明治17年(1884年)に有隣堂 穴山篤太郎が刊行したもの。国立国会図書館デジタルコレクション - 君台観左右帳記. 上で閲覧できる。
- 【過剋斎宛】:大永3年(1523年)12月吉日に相阿弥(松雪斎鑑岳)から過剋斎(道悦過剋斎。千阿弥)に贈ったもの。東京文化財研究所刊行物リポジトリ>能阿弥・過剋斎宛 君台観左右帳記(公刊)で閲覧できる。
- 珠光宛
- 「能阿弥珠光宛君台(観)左右帳記」。能阿弥から村田珠光あてに贈られたもので、珠光から嗣子である宗珠へと引き継がれた。この宗珠による大永3年(1523年)2月吉日の奥書がある。
右此一冊者自能阿彌珠光ヘ御相傳有是ヲ従珠光我等ニ又被成御相傳候間貴所執心不殘候故書與進之候努々他言他見有間敷候可秘也
大永三年癸未二月吉日 宗珠(花押)- 【水戸徳川家本】:のち水戸徳川家伝来。昭和はじめに徳川宗敬伯爵所持。東京文化財研究所刊行物リポジトリ>能阿弥・過剋斎宛 君台観左右帳記(公刊)にて公刊本が公開されている。
宗珠は通称四郎。明窓、引説斎と号す。下京宗珠などの名前で登場する。
- 【水戸徳川家本】:のち水戸徳川家伝来。昭和はじめに徳川宗敬伯爵所持。東京文化財研究所刊行物リポジトリ>能阿弥・過剋斎宛 君台観左右帳記(公刊)にて公刊本が公開されている。
能阿弥銘尽
- 能阿弥は刀剣書「能阿弥本銘尽」を記した
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