油滴天目


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 油滴天目(ゆてきてんもく)

天目茶碗の一種

Table of Contents

 概要

  • 福建省建陽市の建窯で作られた「建盞(けんさん)」と呼ばれる茶碗のうち、「油滴天目」と分類される茶碗。
    • 建盞は、曜変天目、油滴天目、灰被天目、禾目天目などが派生している。
  • 高台は低く小さい。茶碗の内外に厚く黒釉(黒い釉薬)がかかり、これに俗に油滴とよぶ粒状の斑文が散り、光沢を放つ。
  • なお国宝3点以外で「曜変天目」とされる茶碗は、この油滴天目とみなされている事が多い。

 現存国宝

油滴天目茶碗 附髹漆天目台
高7.0㎝ 口径12.3㎝ 高台径4.3㎝
大名物
大阪市所蔵
大阪市立東洋陶磁美術館保管

  • 元は足利義政の所持で、君台観左右帳記にも記載される。

    油滴は曜変の次、是も一段の重宝なり、上々は曜変にも劣るべからず、代五千匹

  • 関白秀次が所持し、聚楽道具の一つとされていたと伝えられる。
  • 西本願寺に移り、のち京都六角の三井八郎右衛門家に入り、その後、若狭小浜藩藩主酒井氏(雅楽頭酒井家)の所蔵となる。
  • 大正には酒井忠道伯爵所蔵。
  • 昭和6年(1931年)1月19日重要文化財指定

    工藝 油滴天目茶碗 附髹漆天目台 三箇 一箇
    東京府東京市四谷區矢来町 伯爵 酒井忠克
    (昭和6年 文部省告示第九號)

  • 昭和26年(1951年)6月9日国宝指定、酒井忠博氏所持

    油滴天目茶碗 附髹漆天目台 三箇 一口
    酒井忠博 東京都港区白金今里町七六
    (文化財保護委員会告示第二号)

  • その後、酒井家から安宅英一氏に譲渡された。
    安宅英一は安宅弥吉の長男。安宅弥吉の設立した安宅産業は10大総合商社の一角を占めたが、のち伊藤忠商事に吸収される。弥吉の死後、安宅産業は弟の重雄が継ぎ、英一は一時的に会長になっているが、むしろパトロン・コレクターとして名が知られる。特にクラシック音楽界では英一の世話を受けなかった人はいないとまで言われるほど大きな支援を続けた。さらに安宅コレクションは英一が主導していたものの実際には安宅産業の事業として行われ、所有権はすべて安宅産業が有していた。
  • のち安宅コレクションは住友グループより大阪市に寄贈された。
    1975年に端を発した安宅産業の破綻後、近代日本画の速水御舟の作品については山種美術館を運営する山種美術財団に有償一括譲渡された。さらに東洋陶磁については、、住友銀行の主導の下に住友グループ21社が、総額152億円を大阪市文化振興基金に寄付し、大阪市がその寄付金で約1000点のコレクションを買い取り、寄付金の積み立てに伴う運用利息で、コレクションを収蔵・展示する美術館を中之島公園に建設した。
     大阪市立東洋陶磁美術館は、この安宅コレクションと呼ばれる東洋陶磁コレクションを核として1982年(昭和57年)に設立された。国宝2件、国の重要文化財13件を含む約4000点を収蔵する。大阪市中之島1丁目1番26号。もう一点の国宝は「飛青磁 花生」

 重要文化財

 九州国立博物館蔵

油滴天目茶碗
高12.6cm 口径 高台径7cm
独立行政法人国立文化財機構
九州国立博物館保管

  • この碗の内箱には「ゆてき」と、さらに「天目」と墨書されている。これは千利休あるいは古田織部の筆によるという。
  • 江戸後期の大名茶人松平不昧の所蔵するところとなり、その蔵帳「雲州蔵帳 大名物部」にも載る。

    油滴 古織 土井利勝 木下長存 伏見屋

  • 大正名器鑑

    古田織部所持にして土井大炊頭利勝に傳わり、其後豊後日出の城主木下和泉守長保の有と為り、夫より江戸道具商伏見屋取次ぎ、七十両(或云金廿枚)にて松平不昧公に納まる、公は之を喜左衛門井戸玳皮盞等と共に、大名物之部に列し、永々大切にすべく、嗣子出羽守斉恒に遺訓せり、大正六年四月三十日、松江市不昧公百年忌展覧会に出陳せらる。

    豊後日出藩初代藩主木下延俊は、若狭国小浜領主で後に備中足守藩の領主となった木下家定の三男。母は杉原家次の娘、雲照院(おあこ)。兄弟には木下勝俊(長嘯子)、小早川秀秋などがいる。

 龍光院蔵

油滴天目茶碗
高一寸五分 口径二寸九分五厘 高台径一寸一分強
大徳寺龍光院所蔵

  • 大徳寺塔頭寺院である龍光院に伝来したもの。
  • 慶長15年に津田宗及の子である江月宗玩大徳寺龍光院を継いだころより大徳寺に伝わった。

    江月和尚以来大徳寺龍光院の什物たり、近年國寶に列し、京都帝室博物館に寄託出陳せらる

 その他

 関連項目


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