袴垂
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袴垂(はかまだれ)
袴垂保輔(はかまだれやすすけ)
- 平安時代の盗賊という。
- 藤原保輔と同一視される。
別人説
- 「今昔物語」巻二十五 藤原保昌朝臣値盗人袴垂では、保昌が袴垂と出会う話を載せており、ここでは別人ということになる。ある夜、袴垂が笛を吹きながら都大路を歩いていく貴人を見つけ、後をつける。頃合いを見て刀を抜いて襲いかかろうとするも、相手の威厳ある態度につい跪いてしまう。名を聞かれて袴垂だと答えると、保昌は袴垂を自分の屋敷まで連れていき「綿厚き衣」まで与えて帰したという。後でその貴人が藤原保昌であると知るという筋となっている。
「然りとて有らむやは」と思て、袴垂、刀を抜て走り懸たる時に、其の度笛を吹止て、立返て、「此れは何者ぞ」と問ふに、譬ひ何ならむ鬼也とも、神也とも、此様にて只独り有らむ人に走り懸たらむ、然まで怖しかるべき事にも非ぬに、此れは何なるにか、心も肝も失せて、只死ぬ許怖しく思えければ、我にも非で突居られぬ。「何なる者ぞ」と重ねて問へば、「今は逃ぐとも逃まじかめり」と思て、「引剥に候ふ」と、「名をば袴垂となむ申し候」と答ふれば、此の人、「然か云ふ者、世に有とは聞くぞ。危ふ気に希有の奴かな。共に詣来」と云ひ懸て、亦同様に笛を吹きて行く。
此の人の気色を見るに、「只人にも非ぬ者也けり」と恐ぢ怖れて、「鬼神に取らるる」と云らむ様にて、何にも思えで共に行けるに、此の人、大きなる家の有る門に入ぬ。沓を履乍ら延の上に上ぬれば、「此れは家主也けり」と思ふに、入て即ち返り出て、袴垂を召て、綿厚き衣一つを給ひて、「今よりも、此様の要有らむ時は、参て申せ。心も知らざらむ人に取り懸ては、汝誤らるな」とぞ云て、内に入にける。
其の後、此の家を思へば、号摂津前司保昌と云ふ人の家也けり。「此の人も然也けり」と思ふに、死ぬる心地して、生たるにも非でなむ出にける。其の後、袴垂、捕らへられて語けるに、「奇異く、むくつけく、恐しかりし人の有様かな」と云ける也。
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