社格
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社格(しゃかく)
神社を等級化する制度
Table of Contents |
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制度の移り変わり
- 神社を等級化する制度は、近代以前は「三代格式」により定められ、明治以後に太政官布告で大きく整備されたが、第二次大戦後に近代社格制度は廃止された。
- 社格制度廃止後は、全ての神社は対等の立場であるとされた(伊勢神宮を除く)。
- 各制度を以下の順に見ていく。
- 近代以前(延喜式内社)
- 近代(官幣社)
- 第二次大戦後
近代以前
- 三代格式(弘仁格式、貞観格式、延喜格式)で定められる。
- 現存するのは「延喜式」のみ。
式内社(しきないしゃ)
- 延喜式の巻九、巻十で神名帳(神社の一覧表)を載せている。
- 本来「神名帳」とは、古代律令制における神祇官が作成した官社の一覧表を指し、官社帳ともいう。
- 国・郡別に神社が羅列され、官幣・国幣の別、大社・小社の別と座数、幣帛を受ける祭祀の別を明記するのみで、各式内社の祭神名や由緒などの記載はない。
- 「延喜式神名帳」とは、延喜式の成立当時の神名帳を掲載したものである。延喜式神名帳に記載された神社(式内社)は全国で2861社で、そこに鎮座する神の数は3132座である。
- これらを「式内社」と呼ぶが、現在は消滅、または不明となっている神社も多い。
式外社(しきげしゃ)
- 当時すでに存在したが延喜式神名帳に記載がない神社を「式外社」という。
- ただし式外社のうち六国史に名前が見える神社を国史見在社という。
- 式外社には、朝廷の勢力範囲外の神社や、独自の勢力を持った神社(熊野那智大社など)、また、神仏習合により仏を祀る寺となった神社、僧侶が管理した神社(石清水八幡宮など)、正式な社殿がなかった神社などが含まれる。
- 代表的な式外社には、石清水八幡宮(京都府八幡市)、大原野神社(京春日。京都市西京区)、吉田神社(京都市左京区)、祇園社(現、八坂神社)、北野神社(現、北野天満宮)、熊野那智大社、香椎宮(福岡市)、鹽竈神社(塩竈市)、須我神社(日本初之宮。島根県雲南市)、火守神社(島根県出雲市)、香良洲神社(三重県津市)、脇子八幡宮(富山県下新川郡)、飯名神社(つくば市)などがある。
石清水八幡宮、祇園社など多くが「二十二社」に含まれているが、延喜式神名帳には記載されない。
一宮(いちのみや)
- 一宮とは、ある地域の中で最も社格の高いとされる神社のことである。一の宮・一之宮などとも書く。
- 通常単に「一宮」といった場合は、令制国の一宮を指すことが多い。一宮の次に社格が高い神社を二宮、さらにその次を三宮のように呼び、更に一部の国では四宮以下が定められていた事例もある。
- 通説では11世紀から12世紀にかけて成立したとされる。文献上における「一宮」称号の初見は、12世紀前半に成立したとされる『今昔物語』に書かれた「今ハ昔シ周防ノ国ノ一宮ニ、玉祖ノ大明神ト申ス神在ス」の記述とされる。
- 選定基準を規定した文献資料は無いが、一宮には次のような一定の形式があるとしている。
- 原則的に令制国1国あたり1社を建前にした。
- 祭神には国津神系統の神が多く、開拓神として土地と深いつながりを持っており、地元民衆の篤い崇敬対象の神社から選定されたことを予測できる。
- 全て『延喜式神名帳』の式内社の中から選定された1社であるが、必ずしも名神大社に限られていない。(異説あり。後述の「変遷と争い」を参照。)
- 必ずしも神位の高きによらないで、小社もこれに与かっている。
- 律令制において国司は任国内の諸社に神拝すると定められており、通説によると一宮の起源は国司が巡拝する神社の順番にあると言われている。律令制崩壊の後も、その地域の第一の神社として一宮などの名称は使われ続けた。現在ではすべての神社は平等とされるが、かつて一宮とされた神社のほとんどが「△△国一宮」を名乗っている。
近代
- 明治4年(1871年)5月14日に、太政官布告「官社以下定額・神官職制等規則」により近代社格制度が制定された。
これ以前の初期の社格として、神祇官直支配社(大奉幣社・中奉幣社・小奉幣社)や勅祭社(大祭社・中祭社・小祭社)があった。
分類
- 近代社格制度では、社格を「官社」と「諸社」(民社)、「無格社」に分ける。
- なお伊勢の神宮(伊勢神宮)は、「全ての神社の上にあり、社格のない特別な存在」とされた。
分類 | 小分類 | 国幣/官幣 | 備考 |
官社 (官国幣社) | 官幣大社 | 官幣社 | 主に二十二社や勅祭社、神宮号をもつ神社が列格。65社 |
国幣大社 | 国幣社 | 旧一宮が多い。6社 | |
官幣中社 | 官幣社 | 北野神社*、太宰府神社*。23社 | |
国幣中社 | 国幣社 | ||
官幣小社 | 官幣社 | ||
国幣小社 | 国幣社 | ||
別格官幣社 | 官幣社 | ||
諸社 (民社) | 府県社 | ||
郷社 | |||
村社 | |||
無格社 |
- ※北野神社と太宰府神社は、本来は別格官幣社。後述。
- 諸社(民社)は、府社=県社=藩社>郷社>村社の順である。
- 府社の社格は東京府・大阪府・京都府の3府に所在の神社に与えられ、県社はそれ以外の県に所在の神社に与えられたが、北海道や樺太は「県」がないにもかかわらず県社とされた。
- 藩社は藩より奉幣を受けるとされたが、藩社が指定される前に廃藩置県で藩が消滅したため、列格した神社はない。
官社
- 官社とは、祈年祭・新嘗祭に国から奉幣を受ける神社である。
- 官社は神祇官が祀る「官幣社」と、地方官(国司)が祀る「国幣社」に分けられ、律令制の社格に倣ってそれぞれに大・中・小の格があり、「昇格」が行われた。官幣社・国幣社をまとめて「官国幣社」ともいう。
- ただし、五畿内・武蔵国・筑前国の官国幣社に相当する神社はすべて国幣社ではなく官幣社とされた。官幣社・国幣社に実質的差異はないが、例祭について、官幣社へは皇室(宮内省)から、国幣社へは国庫から幣帛が供進された点が異なる(祈年祭・新嘗祭はどちらも皇室から奉幣を受ける)。
- 『神道辞典』などによると、官幣大社>国幣大社>官幣中社>国幣中社>官幣小社>国幣小社>別格官幣社 となるが、官幣中社と国幣大社はどちらが上かなどの明確な規定はない。
- なお、臣下であった菅原道真を主祭神とする天満宮は天神信仰によって祭神は雷神と同一視されたため、北野神社(現・北野天満宮)と太宰府神社(現・太宰府天満宮)の2社が例外的に別格官幣社ではなく待遇が上となる官幣中社に列した。
官幣大社・国幣大社の一覧
社名 (現在の社名) | 所在地 | 式内 | 一宮 | 別表 | 他の社格 |
官幣大社 | |||||
札幌神社 (北海道神宮) | 北海道札幌市中央区 | - | (蝦夷国) | 別表 | |
月山神社 | 山形県鶴岡市 | 名神 | 別表 | ||
鹿島神宮 | 茨城県鹿嶋市 | 名神 | 常陸国 | 別表 | 勅祭社 |
香取神宮 | 千葉県香取市 | 名神 | 下総国 | 別表 | 勅祭社 |
安房神社 | 千葉県館山市 | 名神 | 安房国 | 別表 | |
氷川神社 | 埼玉県さいたま市大宮区 | 名神 | 武蔵国 | 別表 | 勅祭社 |
日枝神社 | 東京都千代田区 | - | 別表 | ||
明治神宮 | 東京都渋谷区 | - | - | 別表 | 勅祭社 |
三嶋神社 (三嶋大社) | 静岡県三島市 | 名神 | 伊豆国 | 別表 | |
浅間神社 (富士山本宮浅間大社) | 静岡県富士宮市 | 名神 | 駿河国 | 別表 | |
諏訪神社 (諏訪大社) | 長野県諏訪市ほか | 名神 | 信濃国 | 別表 | |
熱田神宮 | 愛知県名古屋市熱田区 | 名神 | 別表 | 勅祭社 | |
気比神宮 | 福井県敦賀市 | 名神 | 越前国 | 別表 | |
日吉(ひえ)神社 (日吉(ひよし)大社) | 滋賀県大津市 | 名神 | 別表 | 二十二社 | |
建部神社 (建部大社) | 滋賀県大津市 | 名神 | 近江国 | 別表 | |
多賀神社 (多賀大社) | 滋賀県犬上郡多賀町 | 小社 | 別表 | ||
近江神宮 | 滋賀県大津市 | - | - | 別表 | 勅祭社 |
国懸神宮・日前神宮 (日前神宮・國懸神宮) | 和歌山県和歌山市 | 名神 名神 | 紀伊国 紀伊国 | 単立 | |
竈山神社 | 和歌山県和歌山市 | 小社 | 別表 | ||
熊野坐神社 (熊野本宮大社) | 和歌山県田辺市 | 名神 | 別表 | ||
熊野速玉神社 (熊野速玉大社) | 和歌山県新宮市 | 大社 | 別表 | ||
丹生都比売神社 | 和歌山県伊都郡かつらぎ町 | 名神 | 紀伊国 | 別表 | |
賀茂別雷神社 (上賀茂神社) | 京都府京都市北区 | 名神 | 山城国 | 別表 | 二十二社・勅祭社 |
賀茂御祖神社 (下鴨神社) | 京都府京都市左京区 | 名神 | 山城国 | 別表 | 二十二社・勅祭社 |
石清水八幡宮 | 京都府八幡市 | 別表 | 二十二社・勅祭社 | ||
松尾神社 (松尾大社) | 京都府京都市西京区 | 名神 | 別表 | 二十二社 | |
平野神社 | 京都府京都市北区 | 名神 | 別表 | 二十二社 | |
稲荷神社 (伏見稲荷大社) | 京都府京都市伏見区 | 名神 | 単立 | 二十二社 | |
平安神宮 | 京都府京都市左京区 | - | - | 別表 | 勅祭社 |
八坂神社 | 京都府京都市東山区 | 別表 | 二十二社 | ||
白峯神宮 | 京都府京都市上京区 | - | - | 別表 | |
大神神社 | 奈良県桜井市 | 名神 | 大和国 | 別表 | 二十二社 |
大和神社 | 奈良県天理市 | 名神 | 別表 | 二十二社 | |
石上神宮 | 奈良県天理市 | 名神 | 別表 | 二十二社 | |
春日神社 (春日大社) | 奈良県奈良市 | 名神 | 別表 | 二十二社・勅祭社 | |
廣瀬神社 (廣瀬大社) | 奈良県北葛城郡河合町 | 名神 | 別表 | 二十二社 | |
龍田神社 (龍田大社) | 奈良県生駒郡三郷町 | 名神 | 別表 | 二十二社 | |
丹生川上神社 (丹生川上神社〔中社〕) (丹生川上神社上社) (丹生川上神社下社) | 奈良県吉野郡東吉野村 奈良県吉野郡東吉野村 奈良県吉野郡下市町 | 名神 | 別表 別表 別表 | 二十二社 | |
橿原神宮 | 奈良県橿原市 | - | - | 別表 | 勅祭社 |
吉野神宮 | 奈良県吉野郡吉野町 | - | - | 別表 | |
枚岡神社 | 大阪府東大阪市 | 名神 | 河内国 | 別表 | |
大鳥神社 (大鳥大社) | 大阪府堺市西区 | 名神 | 和泉国 | 別表 | |
住吉神社 (住吉大社) | 大阪府大阪市住吉区 | 名神 | 摂津国 | 別表 | 二十二社 |
生国魂神社 | 大阪府大阪市天王寺区 | 名神 | 別表 | ||
水無瀬神宮 | 大阪府三島郡島本町 | - | - | 別表 | |
廣田神社 | 兵庫県西宮市 | 名神 | 別表 | 二十二社 | |
伊弉諾神社 (伊弉諾神宮) | 兵庫県淡路市 | 名神 | 淡路国 | 別表 | |
出雲大社 | 島根県出雲市 | 名神 | 出雲国 | 別表 | 勅祭社 |
赤間神宮 | 山口県下関市 | - | 別表 | ||
香椎宮 | 福岡県福岡市東区 | 別表 | 勅祭社 | ||
宗像神社 (宗像大社) | 福岡県宗像市 | 名神 | 別表 | ||
筥崎宮 | 福岡県福岡市東区 | 名神 | 筑前国 | 別表 | |
宇佐神宮 | 大分県宇佐市 | 名神 | 豊前国 | 別表 | 勅祭社 |
阿蘇神社 | 熊本県阿蘇市 | 名神 | 肥後国 | 別表 | |
宮崎神宮 | 宮崎県宮崎市 | 別表 | |||
鵜戸神宮 | 宮崎県日南市 | 別表 | |||
霧島神宮 | 鹿児島県霧島市 | 別表 | |||
鹿児島神宮 | 鹿児島県霧島市 | 大社 | 大隅国 | 別表 | |
樺太神社 (廃社) | 樺太豊原市 | - | - | - | |
台湾神宮 (廃社) | 台湾台北州台北市 | - | - | - | |
朝鮮神宮 (廃社) | 朝鮮京畿道京城府 | - | - | - | 勅祭社 |
扶余神宮 (未鎮座) | 朝鮮忠清南道扶餘郡 | - | - | - | |
関東神宮 (廃社) | 関東州旅順市 | - | - | - | |
南洋神社 (廃社の後に再建) | 南洋庁パラオ・コロール島 | - | - | - | |
国幣大社 | |||||
気多神社 (気多大社) | 石川県羽咋市 | 名神 | 能登国 | 単立 | |
南宮神社 (南宮大社) | 岐阜県不破郡垂井町 | 名神 | 美濃国 | 別表 | |
多度神社 (多度大社) | 三重県桑名市 | 名神 | 別表 | ||
熊野神社 (熊野大社) | 島根県松江市 | 名神 | 出雲国 | 別表 | |
大山祇神社 | 愛媛県今治市 | 名神 | 伊予国 | 別表 | |
高良神社 (高良大社) | 福岡県久留米市 | 名神 | 筑後国 | 別表 |
別格官幣社(べっかくかんぺいしゃ)
- 後に、国家に功績を挙げた忠臣や、国家のために亡くなったや兵士を祭神として祀る神社のために別格官幣社が創設され、明治5年(1872年)に楠木正成を主祭神とする湊川神社が初の別格官幣社に列格している。
国乱ヲ平定シ国家中興ノ大業ヲ輔翼シ,又ハ国難ニ殉セシモノ,若クハ国家ニ特別顕著ナル功労アルモノニシテ,万民仰慕シ,其ノ功績現今已ニ祀ラレシモノニ比シテ譲ラサルモノ,但シ一神一社ニ限ル
- 別格官幣社は官幣小社と待遇は同じであるが、国幣小社よりも上位とされた規定はない。
社名 | 列格日 | 所在地 | 主な祭神 | 別表 |
湊川神社 | 明治5年4月29日 | 兵庫県神戸市中央区 | 楠木正成 | 別表 |
東照宮 (日光東照宮) | 明治6年6月9日 | 栃木県日光市 | 徳川家康他 | 単立 |
豊國神社 | 明治6年8月14日 | 京都府京都市東山区 | 豊臣秀吉 | 別表 |
護王神社 | 明治7年12月22日 | 京都府京都市上京区 | 和気清麻呂他 | 別表 |
談山神社 | 明治7年12月22日 | 奈良県桜井市 | 藤原鎌足 | 別表 |
建勲神社 | 明治8年4月24日 | 京都府京都市北区 | 織田信長 | 別表 |
藤島神社 | 明治9年11月7日 | 福井県福井市 | 新田義貞 | 別表 |
菊池神社 | 明治11年1月10日 | 熊本県菊池市 | 菊池武時他 | 別表 |
名和神社 | 明治11年1月10日 | 鳥取県西伯郡大山町 | 名和長年 | 別表 |
靖國神社 | 明治12年6月4日 | 東京都千代田区 | 護国の英霊 | 単立 |
阿部野神社 | 明治15年1月24日 | 大阪府大阪市阿倍野区 | 北畠親房、北畠顕家 | 別表 |
結城神社 | 明治15年1月24日 | 三重県津市 | 結城宗広 | 別表 |
小御門神社 | 明治15年6月4日 | 千葉県成田市 | 藤原師賢 | 別表 |
照國神社 | 明治15年12月15日 | 鹿児島県鹿児島市 | 島津斉彬 | 別表 |
常磐神社 | 明治15年12月15日 | 茨城県水戸市 | 徳川光圀、徳川斉昭 | 別表 |
豊榮神社 | 明治15年12月15日 | 山口県山口市 | 毛利元就 | 別表 |
霊山神社 | 明治18年4月22日 | 福島県伊達市 | 北畠親房、北畠顕家他 | 別表 |
梨木神社 | 明治18年10月10日 | 京都府京都市上京区 | 三條実萬、三条実美 | 単立 |
東照宮 (久能山東照宮) | 明治21年5月1日 | 静岡県静岡市駿河区 | 徳川家康 | 別表 |
四條畷神社 | 明治22年12月13日 | 大阪府四條畷市 | 楠木正行他 | 別表 |
唐沢山神社 | 明治23年11月27日 | 栃木県佐野市 | 藤原秀郷 | 別表 |
上杉神社 | 明治35年4月26日 | 山形県米沢市 | 上杉謙信、上杉鷹山 | 別表 |
尾山神社 | 明治35年4月26日 | 石川県金沢市 | 前田利家 | 別表 |
野田神社 | 大正4年11月10日 | 山口県山口市 | 毛利敬親、毛利元徳 | 別表 |
北畠神社 | 昭和3年11月10日 | 三重県津市 | 北畠顕能 | 別表 |
佐嘉神社 | 昭和8年9月28日 | 佐賀県佐賀市 | 鍋島直正、鍋島直大 | 別表 |
山内神社 | 昭和9年4月20日 | 高知県高知市 | 土佐藩歴代藩主 | 単立 |
福井神社 | 昭和18年9月20日 | 福井県福井市 | 松平慶永 | 別表 |
- 単立:包括な宗教団体に属さない独立した宗教団体。
近代社格制度の廃止(第二次大戦後)
- 昭和21年(1946年)2月2日、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の神道指令により神社の国家管理が廃止されると同時に廃止された。
- 「国家神道、神社神道ニ対スル政府ノ保証、支援、保全、監督並ニ弘布ノ廃止ニ関スル件」(SCAPIN-448) 連合国軍最高司令部指令:文部科学省
- GHQの干渉を恐れ、石の社名標の社格が刻まれた部分をセメントで埋めた神社が多かった。その後セメントを除去した社名標もあるが、現在でもそのままのものも多い。
戦後の神社制度
- 昭和21年(1946年)2月2日の神社の国家管理の廃止に伴い、公的な社格の制度(近代社格制度)が廃止されたため、それに代わるものとして昭和23年(1948年)に定められた。社格制度廃止後は、全ての神社は対等の立場であるとされた(伊勢神宮を除く)。
- しかし、旧の官国幣社や一部の規模の大きな神社については、神職の進退等に関して一般神社と同じ扱いをすると不都合があることから、「役職員進退に関する規程」において特別な扱いをすることと定めている。その対象となる神社が同規程の別表に記載されていることから、「別表に掲げる神社」(別表神社)と呼ばれる。
- 当初の別表神社は旧官国幣社のみであったが、昭和26年(1951年)に「別表に掲げる神社選定に関する件」という通達が出され、官国幣社以外で新たに別表神社に加える神社の選定基準が示された。それは以下のものである。
- 由緒
- 社殿・境内地などの神社に関する施設の状況
- 常勤の神職の数
- 最近3年間の経済状況
- 神社の活動状況
- 氏子崇敬者の数および分布状況
- なお、社格同様、伊勢神宮は別格として別表神社に入れられておらず、神宮大宮司は、「神宮規則」により、勅裁を得て任免するとされ、さらに特別の扱いがなされている。
別表神社(べっぴょうじんじゃ)
- 格制度廃止後は、全ての神社は対等の立場であるとされた(伊勢神宮を除く)。しかし、旧の官国幣社や一部の規模の大きな神社については、神職の進退等に関して一般神社と同じ扱いをすると不都合があることから、「役職員進退に関する規程」において特別な扱いをすることと定めている。その対象となる神社が同規程の別表に記載されていることから、「別表に掲げる神社」(別表神社)と呼ばれる。
旧官国幣社で別表神社でない神社
- 旧官国幣社のうち、以下に掲げる各社は神社本庁と被包括関係にないため、別表神社ではない。「被包括関係解消年」が1946年となっているものは、1946年の神社本庁発足当初から神社本庁との被包括関係にないものである。
名称 | 鎮座地 | 式内 | 近代 | その他の社格 | 解消年 |
伏見稲荷大社 | 京都府京都市伏見区 | 名神 | 官幣大社 | 二十二社 | 1946年 |
日前神宮・國懸神宮 | 和歌山県和歌山市 | 名神 | 官幣大社 | 紀伊国一宮 | 1946年 |
梅宮大社 | 京都府京都市右京区 | 名神 | 官幣中社 | 二十二社 | 1946年 |
靖国神社 | 東京都千代田区 | - | 別格官幣社 | 勅祭社 | 1946年 |
出雲大神宮 | 京都府亀岡市 | 名神 | 国幣中社 | 丹波国一宮 | 1946年 |
鎌倉宮 | 神奈川県鎌倉市 | - | 官幣中社 | ||
山内神社 | 高知県高知市 | - | 別格官幣社 | ||
東照宮 | 栃木県日光市 | - | 別格官幣社 | 1985年 | |
気多大社 | 石川県羽咋市 | 名神 | 国幣大社 | 能登国一宮 | 2005年 |
梨木神社 | 京都府京都市上京区 | - | 別格官幣社 | 2013年 |
- 名神:名神大社(みょうじんたいしゃ)。古より霊験が著しいとされる「名神」を祀る神社。
- 解消年:被包括関係解消年
2017年離脱の富岡八幡宮は、旧府社で明治元年(1868年)に定められた准勅祭社12社のひとつ。准勅祭社の制度は明治3年(1870年)9月1日に廃止される。のち昭和50年(1975年)に昭和天皇即位50年を奉祝して関係神社が協議を行い、准勅祭社から23区内の10社を巡る「東京十社巡り」が企画され、同社も選定されている。
その他
勅祭社(ちょくさいしゃ)
- 勅祭社とは、祭祀に際して天皇により勅使が遣わされる(これを勅祭という)神社のことである。ただし、毎年五大祭(月次祭を除く)に勅使が遣わされる伊勢神宮は別格とされて勅祭社に含めない。
社名 | 式内 | 一宮 | 二十二社 | 近代社格 | 別表 | 鎮座地 | 備考 |
賀茂別雷神社 賀茂御祖神社 | 名神 | 山城国 | 二十二社 | 官幣大社 | 別表 | 京都市北区 京都市左京区 | 「賀茂神社」 |
石清水八幡宮 | 二十二社 | 官幣大社 | 別表 | 京都府八幡市 | 国史見在社 | ||
春日大社 | 名神 | 二十二社 | 官幣大社 | 別表 | 奈良県奈良市 | ||
熱田神宮 | 名神 | 官幣大社 | 別表 | 名古屋市熱田区 | |||
出雲大社 | 名神 | 出雲国 | 官幣大社 | 別表 | 島根県出雲市 | ||
氷川神社 | 名神 | 武蔵国 | 官幣大社 | 別表 | さいたま市大宮区 | ||
鹿島神宮 | 名神 | 常陸国 | 官幣大社 | 別表 | 茨城県鹿嶋市 | ||
香取神宮 | 名神 | 下総国 | 官幣大社 | 別表 | 千葉県香取市 | ||
橿原神宮 | 官幣大社 | 別表 | 奈良県橿原市 | 明治創建 | |||
近江神宮 | 官幣大社 | 別表 | 滋賀県大津市 | 昭和創建 | |||
平安神宮 | 官幣大社 | 別表 | 京都市左京区 | 明治創建 | |||
明治神宮 | 官幣大社 | 別表 | 東京都渋谷区 | 大正創建 | |||
靖国神社 | 別格官幣社 | 単立 | 東京都千代田区 | 明治創建 | |||
宇佐神宮 | 名神 | 豊前国 | 官幣大社 | 別表 | 大分県宇佐市 | ||
香椎宮 | 官幣大社 | 別表 | 福岡市東区 | 国史見在社 | |||
朝鮮神宮 | 官幣大社 | 京畿道京城府 | 大正創建、廃社 |
二十二社(にじゅうにしゃ)
- 二十二社は、神社の社格の一つ。国家の重大事、天変地異の時などに朝廷から特別の奉幣を受けた。
- 平安時代後期、後朱雀天皇治世の長暦3年(1039年)に22社目の日吉社が加わり、白河天皇治世の永保元年(1081年)に制度としての二十二社が確立したとされる。京から見て遠方の神社ではなく、主に畿内の神社から選ばれた。
記載社名 | 現在 | 社格 | |||||
社名 | 所在地 | 式内社 | 一宮 | 近代 | 勅祭 | 別表 | |
上七社 | |||||||
太神宮 | 神宮(伊勢神宮) | 三重県伊勢市 | 大 | 神宮 | |||
石清水 | 石清水八幡宮 | 京都府八幡市 | 国史 | 官大 | 勅祭 | 別表 | |
賀茂 | 賀茂別雷神社 (上賀茂神社) | 京都府京都市北区 | 名神大 | 山城国 | 官大 | 勅祭 | 別表 |
賀茂御祖神社 (下鴨神社) | 京都府京都市左京区 | 名神大 | 官大 | 勅祭 | 別表 | ||
松尾 | 松尾大社 | 京都府京都市西京区 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
平埜 | 平野神社 | 京都府京都市北区 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
稲荷 | 伏見稲荷大社 | 京都府京都市伏見区 | 名神大 | 官大 | |||
春日 | 春日大社 | 奈良県奈良市 | 名神大 | 官大 | 勅祭 | 別表 | |
中七社 | |||||||
大原野 | 大原野神社 | 京都府京都市西京区 | 国史 | 官中 | 別表 | ||
大神 | 大神神社 | 奈良県桜井市 | 名神大 | 大和国 | 官大 | 別表 | |
石上 | 石上神宮 | 奈良県天理市 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
大和 | 大和神社 | 奈良県天理市 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
廣瀬 | 廣瀬大社 | 奈良県北葛城郡河合町 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
龍田 | 龍田大社 | 奈良県生駒郡三郷町 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
住吉 | 住吉大社 | 大阪市大阪市住吉区 | 名神大 | 摂津国 | 官大 | 別表 | |
下八社 | |||||||
日吉 | 日吉大社 | 滋賀県大津市 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
梅宮 | 梅宮大社 | 京都府京都市右京区 | 名神大 | 官中 | |||
吉田 | 吉田神社 | 京都府京都市左京区 | 式外 | 官中 | 別表 | ||
廣田 | 廣田神社 | 兵庫県西宮市 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
祇園 | 八坂神社 | 京都府京都市東山区 | 式外 | 官大 | 別表 | ||
北野 | 北野天満宮 | 京都府京都市上京区 | 式外 | 官中 | 別表 | ||
丹生 | 丹生川上神社(中社) | 奈良県吉野郡東吉野村 | 名神大 | 官大 | 別表 | ||
丹生川上神社上社 | 奈良県吉野郡川上村 | 別表 | |||||
丹生川上神社下社 | 奈良県吉野郡下市町 | 別表 | |||||
貴布禰 | 貴船神社 | 京都府京都市左京区 | 名神大 | 官中 | 別表 |
- 国史:国史見在社(こくしげんざいしゃ)。六国史に記載のある神社のこと。
- 名神大:名神大社(みょうじんたいしゃ)。古より霊験が著しいとされる「名神」を祀る神社。
建武中興十五社(けんむちゅうこうじゅうごしゃ)
- 建武中興十五社とは、建武中興(建武の新政)に尽力した南朝側の皇族・武将などを主祭神とする15の神社である。これらの神社は「建武中興十五社会」を結成している。
国史見在社(こくしげんざいしゃ)
- 国史現在社(こくしげんざいしゃ)、国史所載社(こくししょさいしゃ)、こくしけんざいしゃとも。
- 六国史に見在する式外社を指す言葉。
六国史とは、官選正史である「日本書紀」、「続日本記」、「日本後記」、「続日本後記」、「日本文徳天皇実録」、「日本三代実録」をいう。
- 式内社とともに朝廷の尊崇が厚く、由緒ある神社として重んじられる。その数は60余か国390余社に及ぶ。
- 「国史見在社」と「延喜式神名帳」の関係において、次のように分類することができる。
- 国史見在社かつ式内社:
- 国史見在社かつ式外社:いわゆる国史見在社
石清水八幡宮、大原野神社、手向山八幡宮、御霊神社(大阪市中央区)、秋葉山本宮秋葉神社(静岡県浜松市)、白鬚神社(滋賀県高島市)、八幡神社(福井県小浜市)、廣峯神社(兵庫県姫路市)、香椎宮(福岡市)、高千穂神社(宮崎県西臼杵郡)など - 非国史見在社かつ式内社:
- 非国史見在社かつ式外社:
八坂神社、吉田神社、須賀神社など
名神大社(みょうじんたいしゃ)
- 名神大社とは、日本の律令制下において、名神祭の対象となる神々(名神)を祀る神社である。
- 古代における社格の1つとされ、その全てが大社(官幣大社・国幣大社)に列していることから「名神大社」と呼ばれる。『延喜式』巻3の「臨時祭」の「名神祭」の条下(以下「名神祭式」という)と、同巻9・10の「神名式」(「延喜式神名帳」)に掲示され、後者の記載に当たっては「名神大」と略記されている。
- 「名神祭式」には、「名神大社」として203社285座が記されているが、「神名帳」には226社313座が記されており、「神名帳」にあって「名神祭式」に見えない名神が23社28座あることになる。
- このずれについては、両者の管轄が違ったためとする説や、式の伝写の間の誤写・攙入であろうとする説、新たに列せられた名神大社が「名神祭式」には全て記載されていない遺漏であるとする説がある。
関連項目
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