源平討魔伝


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 源平討魔伝(げんぺいとうまでん)

ナムコ(現バンダイナムコ)が1987年にアーケードタイトルとして開発したアクションゲーム

  • 平景清を主人公としており、悪魔のはびこる世を憂う天帝が三途の川の渡し守「安駄婆(あんだばあ)」に命じ、「ぷれいや」なる異次元の者の布施により「景清(かげきよ)」を地獄から甦らせ、頼朝のいる鎌倉を目指す内容となっている。

    一一九二年、闇は来たれり。闇の源を頼朝といふ。頼朝、あまたの魔族を率いて地を征す。対せし平家の者ことごとく討たれ、壇ノ浦に沈みたり。天帝、世の乱れを大いに憂い、三途の川の渡守安駄婆に命じて、平家の亡者よりひとりの豪の者を選ぶ。その名を景清といふ。景清、ぷれいやなる異世界の者の布施により、地獄よりよみがえりたり。

  • 当時のアーケード(ゲームセンター)においては、ケタ違いの大きさのキャラクターと、ナムコ初となる声優起用による迫力のあるボイスが一際異彩を放ち、人形浄瑠璃「出世景清」をモチーフにした独特の世界観は抜きん出ていた。また中潟憲雄氏による世界観にマッチした和風ロック調の音楽を、ゲーム史に残る屈指の名曲と呼ぶ人も多い。ゲームタイトルの題字はナムコ創業社長である中村雅哉氏によるもの。
    特に「Theme of Yoshitsune / 義経のテーマ」が一番記憶に残っているという人が多いかも知れない。
  • エンディングロールで流れるメッセージには深い意味が込められており、今も語りぐさとなっている。

神様は死んだ
悪魔は去った
太古より巣喰いし
狂える地虫の嬌声も
今は、はるか
郷愁の彼向へと消去り
盛衰の於母影を
ただ君の
切々たる胸中深くに
残すのみ
、、、、、、、、、、
 
神も悪魔も
降立たぬ荒野に
我々はいる
 
 
 
故深谷正一氏に
ささぐ。

  • 後に明らかにされた話によれば、この「神様」とは最後に名前が登場するナムコ創世期に天才と呼ばれた名プログラマー深谷正一(ふかたに しょういち)氏のことであり、いっぽう「悪魔」とはそれとは別のこの時にはすでに別会社に去っていた天才プログラマー黒須一雄(くろす かずお)氏を指しているという。それが「神様は死んだ 悪魔は去った」という意味になる。
    黒須氏の移った別会社とは、遠藤雅伸氏設立の株式会社ゲームスタジオ(1985年設立)。
     「デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究報告書」では、三宅陽一郎氏によるインタビューで黒須氏が深谷氏について語っている部分がある。※内容自体は「ゲーム開発技術の歴史における”タスクシステム”(要するに疑似マルチタスクシステムのこと。但し当時のナムコ社内ではジョブコン・オブジェコンと呼んでいたという)」についてのインタビューであり、ゲーム開発にある程度の基礎素養がないと意味がわからないと思われる。
  • 深谷氏は30歳という若さで惜しまれながら急逝するが、その腕と人柄を偲ぶ思いが開発陣に強く、数々のアーケードタイトルのエンディングロールにこの深谷氏に捧げるというメッセージを見ることができる。遠藤雅伸をはじめ、当時のナムコに在籍した多数のプログラマーの育成を担った人物であり、現在のゲーム業界でも人材育成における師弟関係を遡ると深谷にたどり着く人物が多いという。
  • ゲームで描かれる源平の盛衰と、このナムコ社内のストーリーとが重ね合わされ、長い戦いを終えた”ぷれいや”には一層その切なさが感じられ、感動が深く胸に刻まれたことは言うまでもない。

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