閻魔大王


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 閻魔大王(えんまだいおう)

黄泉の国(死後の世界)の支配者

Table of Contents

 概要

  • 閻魔大王は、亡者が地獄に行くか極楽に行くかを「生前の行い」により判定する役目を受け持っている。

 三途の川

  • 亡者は、初七日に三途の川を渡るとされており、渡る場所が賽の河原である。賽の河原は浅瀬(山水瀬)と深瀬(江深淵)があり、どこを渡るかは生前の罪の重さによるという。また罪の無い人は、有橋渡を渡るという。
  • この三途の川の渡し賃は六文と定められており、そこから仏教で葬る際に死者に六文銭(六道銭)を持たせる風習ができた。戦国期の真田家(滋野氏支流)が用いた家紋は、この六文銭を掲げることで常に死を覚悟して戦に挑むという意味が込められているという。

 衣領樹(えりょうじゅ)

  • 三途の川を渡りきった所に衣領樹が生えており、木の上には懸衣翁(けんえおう)、木の下には奪衣婆(だつえば)の夫婦がおり、六文銭を持たない亡者の衣を渡し賃代わりに剥ぎ取っていくという。

 閻魔大王

  • 閻魔大王はその先にいる。大王の前に連れてこられた亡者の生前に犯した罪が傍らの鏡に映し出され、どの地獄に落ちるかが決定されるという。
  • また閻魔大王が一人で審判するのではなく、十人の王が順番に審判するという説もあり、この場合亡者は、死後三年の間、順に各冥界の王の庁を回り審判されることになる。
  • 十王:泰広王、初江王,栄帝王、五官王、変成王、泰山王、平等王、都市王、五道転輪王、閻魔大王の10人。

 閻魔の起源

  • 閻魔はサンスクリット語及びパーリ語のヤマ(यम, Yama)の音訳である。
  • 古代インド神話の『リグ・ヴェーダ』では、ヤマとその妹ヤミー(Yami)はヴィヴァスヴァットの子で、母はトヴァシュトリの娘サラニューとされている。2人は人間の祖ともされ、ヤマとヤミーの兄弟姉妹婚により最初の人類が生まれたとされる。
  • ヤマは人間で最初の死者となり、死者が進む道を見出し死者の国の王となった。インドでは古くは生前に良い行いをした人は天界にあるヤマの国に行くとされたが、後代には地下へ行くとされた。そこでは死者は裁かれ、ヤマは生前に悪行をなした者を罰する恐ろしい神となった。
  • のちヤマは仏教に取り入れられて「閻魔天」となり、地獄の主と位置づけられるようになった。仏教における天上界(欲界六天)の第三天を支配する焔摩天(夜摩天)を指す。
天台宗十界
四聖仏界
菩薩界
縁覚界
声聞界
六道天上界
(六欲天)
他化自在天(第六天)
化楽天(第五天 / 化天)
兜率天
夜摩天(焔摩天)
忉利天
四大王衆天(下天)
人界
修羅界
畜生界
餓鬼界
地獄界

古代中国(特に北方)では、死者は山東省泰安県にある東岳(泰山)へといき泰山府君(たいざんふくん)(泰山の太守の意)が死者の生前の行為の善悪を裁くとされた。※さらに古く神話時代には西北にあるとされた崑崙が仙界とされた。
 魏・晋以降に道教思想の成立とともに新たに北方の果ての冥府羅鄷都(らほうと)とその支配者である北鄷大帝(北大帝)が説かれるようになると、泰山府君はその下僚となった。
 さらに仏教が伝来して混じり合う中、唐代には地獄の概念と階層化が行われるようになったという。ここで泰山府君は泰山王となり、閻魔大王麾下の十王となった。
 さらに日本へ仏教が伝来すると、日本古来の黄泉の国思想と組み合わさって受容され、平安時代末から室町時代にかけて地獄の概念が広まっていった。

奪衣婆や三途の川などについては、初出が日本で12世紀末で成立した偽経『仏説地蔵菩薩発心因縁十王経』であるとされ、仏教にはないとされる。もともと存在した黄泉の国に渡る川や媼の鬼という民間信仰が仏教と合わさることで成立したとされる。三途の川は地獄道・餓鬼道・畜生道への三途の分かれる所であり、あるいは緩急三つの瀬があり生前の罪によって渡るのに三つの途であるともされる。

 地獄

  • 仏教において、地獄とは世界観の1つで最下層に位置する世界をいう。欲界・冥界・六道、また十界の最下層であり、大いなる罪悪を犯した者が死後に生まれる世界とされる。
  • 地獄は、八大地獄の中にそれぞれ十六の小地獄があり、全部で百三十六の地獄があるという。
    8+8*16=136。ただし3つしか書かれていない小地獄や18も書かれている小地獄があり厳密には数は合わない。
  • 地獄は「八熱地獄」ともいう。これとは別に八寒地獄があるが、一般には「八熱地獄」を指す。

 八熱地獄

  • 主に「正法念処経」で説かれる地獄の体系。「往生要集」などによって世に知られた。
八熱地獄十六小地獄
等活地獄
閻浮提(人間界)の地下、1千由旬
1兆6653億1250万年
十六小地獄 (等活地獄)
屎泥処(しでいしょ) / 刀輪処(とうりんしょ) / 瓮熟処(おうじゅくしょ) / 多苦処(たくしょ) / 闇冥処(あんみょうしょ) / 不喜処(ふきしょ) / 極苦処(ごくくしょ) / 衆病処(しゅうびょうしょ) / 両鉄処(りょうてつしょ) / 悪杖処(あくじょうしょ) / 黒色鼠狼処(こくしょくそろうしょ) / 異異回転処(いいかいてんしょ) / 苦逼処(くひつしょ) / 鉢頭麻鬢処(はちずまびんしょ) / 陂池処(ひちしょ) / 空中受苦処(くうちゅうじゅくしょ)
黒縄(こくじょう)地獄
等活地獄の下
13兆3225億年
十六小地獄 (黒縄地獄)
等喚受苦処(とうかんじゅくしょ) / 旃荼処(せんだしょ) / 畏熟処(いじゅくしょ)
衆合(しゅごう)地獄(堆圧地獄)
黒縄地獄の下
106兆5800億年
十六小地獄 (衆合地獄)
大量受苦悩処(たいりょうじゅくのうしょ) / 割刳処(かっこしょ) / 脈脈断処(みゃくみゃくだんしょ) / 悪見処(あくけんしょ) / 団処(だんしょ) / 多苦悩処(たくのうしょ) / 忍苦処(にんくしょ) / 朱誅処(しゅちゅうしょ) / 何何奚処(かかけいしょ) / 涙火出処(るいかしゅっしょ) / 一切根滅処(いっさいこんめつしょ) / 無彼岸受苦処(むひがんじゅくしょ) / 鉢頭摩処(はちずましょ) / 大鉢頭摩処(だいはちずましょ) / 火盆処(かぼんしょ) / 鉄末火処(てつまっかしょ)
叫喚地獄
衆合地獄の下
852兆6400億年
十六小地獄 (叫喚地獄)
大吼処(だいくしょ) / 普声処(ふしょうしょ) / 髪火流処(はっかるしょ) / 火末虫処(かまつちゅうしょ) / 熱鉄火杵処(ねつてっかしょしょ) / 雨炎火石処(うえんかせきしょ) / 殺殺処(せつせつしょ) / 鉄林曠野処(てつりんこうやしょ) / 普闇処(ふあんしょ) / 閻魔羅遮曠野処(えんまらこうやしょ) / 剣林処(けんりんしょ) / 大剣林処(だいけんりんしょ) / 芭蕉烟林処(ばしょうえんりんしょ) / 煙火林処(えんかりんしょ) / 火雲霧処(かうんむしょ) / 分別苦処(ふんべつくしょ)
大叫喚地獄
叫喚地獄
6821兆1200億年
十六小地獄 (大叫喚地獄)
吼々処(くくしょ) / 受苦無有数量処(じゅくむうすうりょうしょ) / 受堅苦悩不可忍耐処(じゅけんくのうふかにんたいしょ) / 随意圧処(ずいいあつしょ) / 一切闇処(いっさいあんしょ) / 人闇煙処(じんあんえんしょ) / 如飛虫堕処(にょひちゅうだしょ) / 死活等処(しかつとうしょ) / 異々転処(いいてんしょ) / 唐悕望処(とうきぼうしょ) / 双逼悩処(そうひつのうしょ) / 迭相圧処(てっそうあつしょ) / 金剛嘴烏処(こんごうしうしょ) / 火鬘処(かまんしょ) / 受鋒苦処(じゅほうくしょ) / 受無辺苦処(じゅむへんくしょ) / 血髄食処(けつずいじきしょ) / 十一炎処(じゅういちえんしょ)
焦熱地獄(炎熱地獄)
大叫喚地獄の下
5京4568兆9600億年
十六小地獄 (焦熱地獄)
大焼処(だいしょうしょ) / 分荼梨迦処(ぶんだりかしょ) / 龍旋処(りゅうせんじょ) / 赤銅弥泥魚旋処(しゃくどうみでいぎょせんしょ) / 鉄钁処(てっかくしょ) / 血河漂処(けつがひょうしょ) / 饒骨髄虫処(にょうこつずいちゅうしょ) / 一切人熟処(いっさいにんじゅくしょ) / 無終没入処(むしゅうぼつにゅうしょ) / 大鉢特摩処(だいはちとくましょ) / 悪険岸処(あくけんがんしょ) / 金剛骨処(こんごうこつしょ) / 黒鉄𢶏縄刀解受苦処(こくてつじょうびょうとうかいじゅくしょ) / 那迦虫柱悪火受苦処(なかちゅうちゅうあくかじゅくしょ) / 闇火風処(あんかふうしょ) / 金剛嘴蜂処(こんごうしほうしょ)
大焦熱地獄(大炎熱地獄)
焦熱地獄の下
半中劫(43京6551兆6800億年)
十六小地獄 (大焦熱地獄)
一切方焦熱処(いっさいほうしょうねつしょ) / 大身悪吼可畏之処(だいしんあくくかいしょ) / 火髻処(かけいしょ) / 雨縷鬘抖擻処(うるまんとそうしょ) / 吒々々齊処(たたたざいしょ) / 雨沙火処(うしゃかしょ) / 内熱沸処(ないねつふっしょ) / 普受一切資生苦悩処(ふじゅいっさいしせいくのうしょ) / ?多羅尼処(びたらにしょ) / 無間闇処(むけんあんしょ) / 苦髻処(くかいしょ) / 髪愧烏処(ほっきうしょ) / 悲苦吼処(ひくくしょ) / 大悲処(だいひしょ) / 無非闇処(むひあんしょ) / 木転処(もくてんしょ)
阿鼻地獄(無間地獄)
地獄の最下層
一中劫(349京2413兆4400億年)
十六小地獄 (無間地獄)
烏口処(うこうしょ) / 一切向地処(いっさいこうちしょ) / 無彼岸常受苦悩処(むひがんじょうじゅくのうしょ) / 野干吼処(やかんくしょ) / 鉄野干食処(てつやかんじきしょ) / 黒肚処(こくとしょ) / 身洋処(しんようしょ) / 夢見畏処(むけんいしょ) / 身洋受苦処(しんようじゅくしょ) / 雨山聚処(うせんじゅしょ) / 閻婆叵度処(えんばはどしょ) / 星鬘処(せいまんじょ) / 苦悩急処(くのうきゅうしょ) / 臭気覆処(しゅうきふくしょ) / 鉄鍱処(てっちょうしょ) / 十一焔処(じゅういちえんしょ) / 火車地獄(かしゃじごく)

 八寒地獄

頞部陀(あぶだ)地獄
八寒地獄の第一。寒さのあまり鳥肌が立ち、身体にあばたを生じる。
刺部陀(にらぶた)地獄
八寒地獄の第二。鳥肌が潰れ、全身にあかぎれが生じる。
頞听陀(あただ)地獄
八寒地獄の第三。寒さによって「あたた」という悲鳴を生じるのが、名前の由来。以下「虎々婆」まで共通。
臛臛婆(かかば)地獄
八寒地獄の第四。寒さのあまり「ははば」という悲鳴を上げる。
虎々婆(ここば)地獄
八寒地獄の第五。「ふふば」という悲鳴を上げる。
嗢鉢羅(うばら)地獄
八寒地獄の第六。全身が凍傷のためにひび割れ、青い蓮のようにめくれ上がる事から「青蓮地獄」とも呼ばれる。
鉢特摩(はどま)地獄
意訳で「紅蓮地獄」とも呼ばれる八寒地獄の第七。鉢特摩(はどま)は蓮華を意味するサンスクリット語の音写。ここに落ちた者は酷い寒さにより皮膚が裂けて流血し、紅色の蓮の花に似るという。
摩訶鉢特摩(まかはどま)地獄
意訳で「大紅蓮地獄」とも呼ばれる八寒地獄の第八。八寒地獄で最も広大。摩訶(まか)は大を意味するサンスクリット語の音写。ここに落ちた者は、紅蓮地獄を超える寒さにより体が折れ裂けて流血し、紅色の蓮の花に似るという。

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