唐皮


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 唐皮(からかわ)

平氏重代の鎧

  • 櫨匂威の鎧で黄色の蝶の裾金物が打ってあったという。

 由来

  • 桓武天皇の甥の香円(もしくは伯父の慶円)が紫宸殿の前で真言の修法を行なった際、不動明王の七領の鎧の一つ「兵面」が天から降ってきたが、皮威で虎の毛がついていたので「唐皮(=中国から輸入された虎皮)」と名付けた。

    彼唐皮と云は非凡夫之製、仏の作り給へる鎧也。桓武天皇の御伯父に慶円とて、真言の奥義を極め給へる貴き上人御座き。綸言を給て、紫宸殿の御前に壇を拵へ、胎蔵界の不動の前に智印を結び、意を安平に准へて、彼法を加持せらる。七日と云未刻に、紫雲起りてうづまき下り、其中よりあらゝかに壇上に落る物あり。雲消壇晴て是を見れば一両の鎧あり。櫨の匂に白き黄なる両蝶をすそ金物に打て、糸威には非して皮威也。裏を返て見るに、実のあひあひに虎毛あり、図知ぬ虎の皮にて威たりと。故に其名をば唐皮とぞ申ける。
    (源平盛衰記)

 来歴

  • 国家の守として内裏の御宝としたが、のちに平貞盛に下賜した。
  • 平治の合戦では佐衛門佐重盛が着用、その後嫡子の維盛に相伝した。

    人甲冑を著せし時は、専国家壁と思て、我物の想をなさじ、国を囲はん時は、偏に州頭の壁とのみ思はざれ、皇の御衣と思ふべき也と被奏聞けり。されば此鎧は、真言秘教の中より不動明王の化現し給へる処也。国家の守として、六代までは大内の御宝也けり。其後武道に遣して将軍にもたすべき由、日記に留給たりけるを、高望王の御孫、平将軍貞盛に下預被より以来、維盛迄は嫡々九代に伝はれり。今の唐皮と云は是なり。

 不動明王の七領

  • 兵頭、兵体、兵足、兵腹、兵背、兵指、兵面を指す。

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