猿正宗

猿正宗(さるまさむね)  

細川家に伝来したという架空の刀

  • 肥後熊本藩細川家の飛脚二人が、国許から江戸へ向かった時の話。
  • 駿河の薩田山に差し掛かったのが朝の早い時間でまだ通行人も少ない時分で、海から大ダコが現れて一匹の大猿を海へ引きずり込もうとしていた。
  • 猿が必死に岩角にしがみついていたため飛脚が面白がって見物していると、いよいよ引きずり込まれそうになったため、飛脚は大ダコを切って猿を助けてやったという。
  • 助けられた大猿は喜んでいたが、突然飛脚の御用箱を奪い山中に逃げてしまった。
  • 飛脚が驚いて追いかけたが山中で見失ってしまう。飛脚たちが途方に暮れていると、遥か彼方に大猿が待っていて御用箱を返してくれた。さらに大猿は長い菰包みを持っており、それも飛脚に差し出したあと山中に消えていった。
  • 御用箱を取り戻した飛脚たちが江戸についてから菰包みを開けてみると、棒鞘に入った刀であったという。飛脚は驚き細川の殿に委細を申し上げ、刀も献上した。研がせてみたところ正宗作であったため、細川家の殿様は殊の外喜び、飛脚にも褒美を与えたという。
  • 以上は松平頼平著「秋霜雑纂」に記されているが、これは架空の話だという。