須我利太刀
須我流横刀(すがるのたち / すかりのたち)
儀礼用太刀
伊勢神宮所蔵
- 須我流、須加流。
- 須賀利御太刀(すがりのおんたち)、須我利太刀(すがりのたち/すかりのたち)とも。
Table of Contents |
|
概要
- 「玉纏横刀」と同じく、式年遷宮時に納められる皇大神宮神宝のひとつ。
- 神宝には約60柄の太刀が含まれるが、この2柄は特に格式が高く豪華絢爛な造りであることから神宝を代表するものとして知られている。
- なお内宮御料に納める太刀のうち、第62回遷宮時の「玉纏御太刀」及び「須賀利御太刀」の太刀身については人間国宝の天田昭次氏が鍛えている。現在知られる日本刀様式(湾刀)ではなく直刀である。また太刀拵については森本錺金具製作所の調製である。
- 遷宮時に撤下神宝として埋められるものであるが、昭和4年(1929年)に調進されたものが、宗教法人神宮に所蔵されている。※撤下神宝については「玉纏横刀」の項を参照
書物に登場する須我流横刀
- 古くは延暦23年(804年)の皇太神宮儀式帳の宝物19種に記載されている。
寶殿物十九種
玉纏横刀 一柄須我流 横刀 一柄
- 神宝が21種類に増えた延喜式でも記載されている。
神寶二十一種。
須我流 横刀 一柄。柄ノ長六寸。鞘長三尺。其鞘以テ金銀泥畫之。柄以鴾羽纏之。柄勾皮長一尺四寸。裏小暈繝錦廣一寸。押鏡形金六枚、柄ノ枚押小暈繝ノ錦長三寸一分。廣一寸五分。四角立乳形著ク五色組。長一丈。阿志須恵組四尺。金鮒形一隻。長六寸。廣ニ寸五分。著紫組。長六尺。袋一口。表大暈繝錦。裏緋綾帛。各長七尺。
- 内宮送官符
須賀利太刀一柄
柄長六寸用赤木身長三尺鞘長三尺一寸並黒漆平文皆銅金物以金銀以緋糸纏付鴾羽柄金物除玉鈴之外皆銅玉纏大刀。鞘金物口金金貳重帯取金貳枚各在之。三筋志波利金一枚緒唐組貳条長一丈五尺廣四寸五分、帯取同唐組貳条長一尺六寸廣六分、志波利加久皮端金䒭皆同玉纏太刀。但鞘著鈴八口金鮒形貳隻身長六寸廣ニ寸五分以紫小組著長六尺
已上納袋一口表大繧繝錦裏緋綾長五尺
(内宮長暦送官符)
- 国華余芳
皇太神宮神寶
須我流横刀
皇太神宮儀式帳云寶殿ノ中ニ須我流横刀一柄トアリ、同解云須我流ハ俗ニ須牟賀利ト美 ルニ同シ、ソノ横刀ノウルワシキヲイフ。此太刀雑作太刀ニムカヘ見レハ甚 麗シト云フ。延喜式及内宮長暦送官符ニ、柄長六寸赤木ヲ用ヒ身長サ三尺、鞘長三尺一寸並黒漆平文皆銅金物銀泥ヲ以テ畫キ緋糸ヲ以テ鴾羽 ヲ纏付ク、柄ノ金物ハ玉鈴ヲ除ノ外皆玉纏太刀ニ同シ。鞘金物口金貳重帯取金四角立乳形ニ枚五色組長一丈長暦送官符ニ一丈五尺トス阿志須恵ニ組四尺金鮒形一隻長六寸廣ニ寸五分。志波利加久皮端金䒭皆同玉纏太刀ニ但鞘ニ鈴八口ヲ著トアリ
(国華余芳)
※引用時に句読点を入れた
須我流(須賀利)
- 読みの「すがる(すがり)」とはジガバチの古名とされ、ハチの様に美しい装飾であることを示しているとされる。
鴾羽
- 各書に出てくる「鴾羽」とはトキの羽根のことで、2枚のトキの尾羽根で包み込むように柄を装飾しているのが特徴となっている。
柄以鴾羽纏之。
緋糸ヲ以テ
鴾羽 ヲ纏付ク
- 明治以降にはさらに詳細に記述されており、明治22年(1889年)時の「御装束神宝改正見込調書」では
と書かれており(明治42年調書も同じ)、さらに昭和4年(1929年)の仕様書には鴾羽貳枚、柄ニ纏フ。緋糸鴾羽ノ上に町形ニ纏ヒ着ク
とより詳細に記述される(昭和28年以降も同じ)。須賀利御太刀柄、長六寸。末広一寸八厘、厚五分八厘、赤木ヲ用ヒ、漆ヲ以テ布ヲ着セ鴾羽ヲ纏ヒ緋糸ヲ以テ其ノ上ヲ巻ク
- なおトキは日本においては絶滅の危機にあったため、昭和48年(1973年)及び平成5年(1993年)については日中朱鷺保護協会の会長であった村本義雄氏が所蔵していた羽根を譲り受けて制作したが、平成25年(2013年)の遷宮時には、いしかわ動物園で飼育されているトキの羽根を使用した。
このトキの羽根は換羽期の6~9月に落ちるもので、村本氏はこれを1730枚も拾い集めていたという。その中から規格に合うもので色の鮮明なものを大宮司が選定したという。
AmazonPrime Video30日間無料トライアル