濡れ燕
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濡れ燕(ぬれつばめ)
刀
大進坊祐慶作
濡れ燕
丹下左膳佩用
- 鎌倉期の相州刀匠、大進坊祐慶の作
「何イ? 伊賀の柳生……?」
突ったった左膳、急にあわてて、頬の刀痕をピクピクさせながら、チョビ安をかえり見、
刀を――刀を取れ」
と、枯れ枝の刀架けを指さした。
そこに掛かっている破れ鞘……鞘は、見る影もないが、中味は相模大進坊、濡れ燕の名ある名刀だ。
濡れ紙を一まい空にほうり投げて、見事にふたつに斬る。その切った紙の先が、燕の尾のように二つにわかれるところから、濡れつばめ――。
左膳はもう、ゾクゾクする愉快さがこみあげて来るらしく、濡れ燕の下げ緒を口にくわえて、片手で衣紋をつくろった。
- 林不忘(長谷川海太郎)の小説に登場する丹下左膳の愛刀で、利き腕では無いと思われる片腕で扱ったという。
隻眼隻腕の丹下左膳、右手を欠くため右腰にあるのは「名刀相模大進坊・濡れ燕」
- 通常は左腰に刀を差すが、左膳は右腰に差すという描写になっている。
鉄斎老人
- 小説に登場する鉄斎老人(江戸根津権現の剣道指南小野塚鉄斎)は乾雲、坤竜の二刀を持つという。
鉄斎は、手にしていた一刀を、錦の袋に包んだ鞘へスウッ、ピタリと納めて、腕を組んで瞑目した。
膝近く同じ拵えの刀が二本置いてある。
関の孫六の作に、大小二口の稀代の業物がある。ともに陣太刀作りで、鞘は平糸巻き、赤銅の柄に刀には村雲、脇差には上り竜の彫り物があるというところから、大を乾雲丸 、小を坤竜丸 と呼んでいるのだが、この一対の名刀は小野塚家伝来の宝物で、諸国の大名が黄金を山と積んでも、鉄斎老人いっかな手放そうとはしない。
- この乾雲、坤竜の二刀は同じ場所にあれば問題はないが、一度別の場所に分けると「たちまちそこに何人かの血を見、波瀾万丈、恐ろしい渦を巻き起こさずにはおかない」という恐ろしい刀であるとする。
- しかし、この夜泣きの名刀、乾雲丸は丹下左膳へ、坤竜丸は森徹馬へと、それぞれ一時鉄斎の手から渡されることになる。
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