小月像


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 小月像(こつきがた)

  • 「小月形」とも。※「形」と「像」は原文でもブレがある。
  • 南総里見八犬伝」、後半の主人公犬江親兵衛仁が振るったとされる剣。
  • 富山での功を賞して里見義実から贈られたもの。

    義実主、左見右見(とみかうみ)て、(まづ)副佩(さしかえ)の兩刀を、傍に置して、親兵衛に、うち(むか)ひて宣ふやう、「和郎(わろ)はいまだ(きか)ざりしか。我家に、大月形(おほつきがた)小月形(こつきがた)と名けたる、重代の刀あり。大月形は、家督と共に、昔年義成に譲與へたり。」といひつゝ件の副佩の、刀をやをら拿抗(とりあげ)て、「見よ、此は是小月像なり、夜行(よみち)に迷ぬ奇特あり。世に聞えたる重寶なれども、今日和郎が大功の、賞として取するなり。

  • 「大月形」とペアで里見家の重宝として伝わっていたが、この「小月像」については犬江親兵衛が拝領していたため、里見義成に家督を譲る際には「大月形」と「狙公」とを譲っている。

    當下(そのとき)義実主は、後方(あとべ)なる、刀架に置かれたる、狙公(さるひき)の名刀を拿抗(とりあげ)て、義成主に宣ふやう。「大月像(おほつきがた)小月像(こつきがた)、大小の兩刀は、當家相傳の重寶なれども、小月像は富山にて、犬江親兵衛が大功の賞として、他に取せたりければ、兩刀の内中(うち)、一刀(かけ)たり。しかるに先考(※亡父)御遺愛の、(この)狙公は小月像に、優ること遠かるべし。月と狙とは、水月猿猴、(かれ)に代るに(これ)をもてせば、拿得(とりえ)がたきを拿得たる、遺刀に因あり、亦縁あり。表装(こしらへ)は好みもあらん、和殿の随意()(かく)もして、身の(まもり)にし給へかし。」と(とき)示しつゝ遞與(わた)し給へば、義成主は(いそがは)しく、膝を(すゝ)めつ受拿(うけとり)て、帯て歡びを(まう)し給ふ、口誼は看官(みるひと)(すい)すべし。


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