堀部直臣
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堀部直臣(ほりべなおおみ)
銀行家
旧熊本藩士
- 愛刀家で知られた。
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生涯
- 堀部直臣は、安政元年(1854年)肥後熊本藩士の家に生まれた。
- 堀部家の祖は赤穂浪士堀部安兵衛(堀部武庸)であり、その死後に堀部言真が家督を継ぎ、子孫は熊本藩士となった。
初代新発田藩藩主の溝口秀勝の五女・糸姫(秋香院)は、同族という溝口盛政(四郎兵衛)に嫁いでおり、のち盛政は溝口姓を与えられている。この溝口盛政の継室である柿本正方の娘の生んだ盛政の六女は、新発田藩士・中山弥次右衛門に嫁いでおり、中山安兵衛を生んだ。この中山安兵衛は、19歳のときに江戸へ出て高田馬場の決闘で名をあげ、これに惚れ込んだ赤穂藩士堀部金丸に婿養子に誘われ、その長女である堀部ほりと結婚して堀部武庸となった。のち赤穂浪士四十七士随一の剣客として名前が残る。溝口秀勝─┬溝口宣勝【越後新発田藩】 └糸姫 ├────娘5人 溝口盛政 ├────┬溝口政俊 柿本正方娘 ├上田角左衛門 └娘 (堀部武庸) ├────────中山安兵衛━━堀部言真 溝口家家臣・中山弥次右衛門 │ │ 山田氏の女 │ ├───堀部ほり 赤穂藩士・堀部金丸 │ 忠見政常─┬わか └堀部言真━━堀部言芳(堀部清矩の子)……堀部直臣
- 直臣はこの家系の生まれである。
- 明治維新後に各地で士族の反乱が頻発すると、熊本でも明治9(1876年)に「神風連の乱」が起こり、堀部直臣はこれに参加している。
- その後、明治10年に設立された第九国立銀行の頭取となる。明治34年(1901年)には、第3次伊藤内閣で大蔵大臣を務めていた井上馨に第九銀行の現状報告をした文書が残っている。
当銀行善後処理ニ配慮感謝 継続方法ニ関スル臨時総会静穏ニ終了 未払株金払込可決 取締役引責辞職 次期総会マデ京地ノ吉左右待望
- その後明治35年(1902年)の日本興業銀行設立の際、23名の設立委員に任命されている。また明治30年頃には九州鉄道の株主にも名を連ねている。
- 昭和5年(1930年)77歳で没。
逸話
杉山茂丸との交流
- 杉山茂丸と刀をやり取りしたエピソードが残る。それによれば、堀部は杉山所持の肥前忠吉の小短刀を所望しており、杉山は堀部所持の国広の短刀を所望していた。
- 互いに相談し、どちらか先に逝った際には相手にその刀を渡すという取り決めをしたという。のちに堀部が病で倒れると、杉山は「国広は大丈夫か?」と幾度も問い合わせをし、堀部もそれに対して「まだまだ」と返答したという。結果的に堀部は国広の短刀を手放すことになり、杉山は相場以上の金銭を支払い入手したという。
清田直
- 愛刀家である清田直が、堀部武庸(安兵衛)所持の金象嵌がある和泉守国貞(初代)を手に入れたと聞き、堀部が「先祖の指料なのでどうか譲って欲しい」と懇願したがゆずらなかったという。しかし後年清田直の次男が堀部家を継いだ関係でこの刀は堀部家に伝わることとなった。
本阿弥琳雅との交流
- 本阿弥琳雅の家は、門構えだけは立派だが邸内は荒れていたという。堀部は左文字の短刀を持ってきた上で、これを売って畳や唐紙を直させたのだという。当時五百五十円であったという。
刀剣
- 始め熊本で長崎仁平から買い求め、のちには肥後金工西垣家の末裔である西垣四郎作の助言を得て購入している。
- また本阿弥琳雅と交流し無二の後援者となっている。
信長拵の写し
- 浮股信長の信長拵(御家拵)の再現に取り組んでおり、本歌は失われたがこの写しは現存している。
長屋氏(旧土佐藩士、陸軍大佐の長屋重名氏)の熊本を去ると前後して之に興かりし工匠も亦没し、今や再び此の道の絶えんとするを歎ぜしが、宛かもよし、長屋氏の府下大久保に寓居せらるるを聞き、廔々其の門を㪣きて教へを請ひ得る處少からざりき。
越ゑて明治四十四年清浦子爵(清浦奎吾、第23代内閣総理大臣)右拵方を網屋に嘱す、即ち予も之に與り、工匠數輩と共に細川家にて親しく信長刀を見て研究を重ね、大正元年十二月に至て出来せり。是に於て四百餘年前の慶長拵復古し、三公も亦地下に瞑するを得んか。
- 「浮股信長」の項参照
備前長船則光
刀
銘 備前国長船住左衛門尉藤原朝臣則光/於作州鷹取庄黒坂造/鷹取勘解由左衛門藤原朝臣泰佐打ス/長禄三年己卯十二月十三日
長68.1cm、反り2cm
重要文化財
個人蔵
紀助光
- 元は阿部家に伝わったもので、阿部豊後守が家光にお供して鷹野に出た際に、隅田川を水馬で渡った褒美として拝領したもの。
- 質屋に流れていたが、明治32年(1899年)ごろ1500円を投じて購入した。
- 昭和28年(1953年)3月31日国宝指定。個人蔵
国広
短刀
八寸八分
- 平造り、筍反り。
- 生ぶ中心。目釘孔子。先栗尻。表に「國廣」二字銘。
その他の刀剣
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