名刀幻想辞典
源義家からの八領の鎧のひとつで源氏重代相伝の鎧。
此の膝丸と申すは、牛千頭せんがしらが膝の皮を取り威したりければ、牛の精や入りけん、常に現じて主を嫌ひけるなり。されば塵などを佛はんとても、精進潔斎して取り出しけるとなり。かゝる稀代の重寳を、敵となる子の許へ遣しける、親の心ぞあはれなる。
爲義今度は最期の合戰と思ひければ、重代の鎧を一領づゝ、五人の子どもに着せ、我が身は薄金をぞ着たりける。源太が産衣と膝丸とは、嫡々に傳ふる事なれば、雑色花澤して、下野ノ守のの許へぞ遣しける。爲朝冠者は器量人に勝れて、常の鎧は身に合はざりければ、着ざりけり。
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