翁(おきな)  

短刀
相州正宗

  • 水戸頼房の差料

由来  

  • 公演の冒頭に上演される能楽「翁」にかけ、正宗作中一番を意味する。後述。

来歴  

  • もとは出雲松江藩第2代藩主堀尾忠晴(山城守、従四位下侍従)の所持。
  • 後に水戸徳川家の頼房が入手する。わずか八寸の短刀であったが二つ胴を落としたため、元和5年(1619年)5月3日、埋忠寿斎に命じて後銘を入れさせている。

    此刀二ツ胴落故号翁 堀尾山城守忠所持 花押

    • 本来は「忠晴所持」とすべき所を「忠所持」と省略している。




能楽「翁」  

  • 正月の催能など、主だった公演に際して式三番の冒頭に上演される演目である。

式三番(しきさんばん)  

  • 元々は「父尉(ちちのじょう)」、「翁」、「三番叟(さんばそう)」の3演目を指し、いずれも老体の神が祝言や祝舞を行う。
  • それぞれの内容に関連はないが、古くからこの3つを一組にして演ずるというしきたりがあり、鎌倉時代中記には式三番として定着していた。
  • 室町時代初期にはこのうち「父尉」が上演されなくなり、特別な神事能以外では、「父尉」を省き「翁」から上演するのが通例となっていた。しかし式二番とは呼ばず、式三番と呼ぶ習わしが続いた。その場合「翁」を能楽師、「三番叟」を狂言師が担当する。
  • 時代が降りても、能楽の最初、一番目に上演するのは「翁」であり続ける。