庖丁正宗

庖丁正宗(ほうちょうまさむね)  

尾州徳川家伝来
7寸9分半(24.0cm)徳川美術館所蔵「ほりぬき正宗
奥平松平家伝来
7寸1分6厘(21.8cm)永青文庫所蔵
内藤家伝来
7寸1分3厘(21.6cm)大阪の法人蔵。日向延岡藩主の内藤家伝来「包丁透し正宗
Table of Contents

尾州徳川家伝来  

短刀
無銘正宗名物 庖丁正宗)
長さ7寸9分半(24.0cm)
国宝
徳川美術館所蔵

  • 享保名物帳所載

    庖丁正宗
    剣をすかす、尾張之天守より出る

  • 平造り、庵棟。表裏に爪形付きの素剣が透かし彫りで入る。中心先は剣形。うぶ中心で目釘孔1個。無銘
  • 駿府御分物(徳川家康遺品)中にあったもので、尾張徳川家に伝来した。
  • 「駿府御分物御道具帳」の中之御脇拵の部には、「ほりぬき正宗」と記載されている。

    一 中之御腰物 ほりぬき 正宗

  • 初代尾張義直の刀剣遺品帳

    一 無銘 包丁正宗 御拵有 但目貫□□柄下ニテ不見 右同断(御分物之内)

  • 承応年間になって取出し本阿弥に見せた所、承応3年(1654年)8月に金三十枚の折紙が付いた。
  • また「享保名物帳」には「尾張之天主より出る」とあるが、これは一時期天守閣に納められていた故に記されたと思われる。
  • 昭和16年(1941年)9月24日重要美術品指定、尾張黎明会所蔵。
  • 昭和28年(1953年)11月14日重要文化財指定。
  • 昭和29年(1954年)3月20日国宝指定。
  • 現在は徳川美術館所蔵。


庖丁正宗(武州奥平松平家伝来)  

短刀
無銘正宗名物 庖丁正宗)
長さ7寸1分6厘(21.8cm)
国宝
永青文庫所蔵(東京都文京区目白台)

  • 享保名物帳所載

    庖丁正宗
    幅一寸一分 表剣裏梵字 安国寺所持にて庖丁にニたりと有り

  • 平造り、庵棟。差表に片爪付きの剣。裏に梵字。中心先は栗尻。うぶ中心、目釘孔1個、無銘。
  • 昭和11年(1936年)の売立時、拵には横屋宗珉の赤胴馬の二所が附いており、小柄目貫も重要美術品認定。
  • 元は毛利家の使僧安国寺恵瓊の所持刀。
  • 関ヶ原の戦い後、恵瓊は京都鞍馬山月照寺や建仁寺に潜み、さらには西本願寺の家老下間形部卿の婿にあたる端ノ坊明王の許に隠れていた。これを閑鎮という僧が奥平信昌に知らせたことで発覚する。
  • 奥平信昌が追手を差し向けると、恵瓊は家臣の肩輿に乗り、病人を装い逃げようとした。捕手の鳥居信商が恵瓊を生け捕りにしようとすると、この正宗を抜いて突こうとするが、逆に鳥居信商に奪い取られついには生け捕りにされる。
  • 奥平信昌が家康のもとに恵瓊を連れて行き短刀も差し出した所、褒美として奥平信昌に与えられた。
  • 包丁正宗は、その後信昌から四男松平忠明(母は徳川家康の長女亀姫で、家康の外孫に当たる。松平性を許される)に与えられた。
  • 享保名物帳の「松平下総守殿」は松平忠明の曾孫忠雅のことで、その後転封された武州忍藩(奥平)松平家に伝来した。
    奥平信昌は長篠の戦いの戦功で「大般若長光」も拝領しており、ともに武州忍藩に伝来した。


庖丁正宗(日向延岡藩主内藤家伝来)  

短刀
無銘正宗名物 庖丁正宗)
長さ7寸1分3厘(21.6cm)
国宝
大阪府の法人錦秀会所蔵

  • 「包丁透し正宗」「透し正宗」とも呼ばれる。
  • 享保名物帳所載

    庖丁正宗
    幅一寸三分 護摩箸をすかし下に爪あり 庖丁に似たる故両様に名付なり

  • 丸棟。中心先は剣形。中心うぶ、目釘孔1個、無銘。
  • 始め本阿弥家某とみられる人物が名古屋の小道具屋で十疋(銀十五匁)で買い入れたという。
  • その後会津若松の蒲生忠郷の所蔵となる。寛永4年(1627年)忠郷が早世して御家断絶となり、領内の三春城は内藤帯刀忠興の預かりとなった。おそらくこの時期に内藤家に移ったものとみられる。
  • 享保名物帳編纂時は、奥州磐城平藩5代藩主内藤右京亮義稠所蔵となっているが、義稠は享保3年(1718年)に死んでおり養子の6代藩主備後守政樹となる。
  • 備後守政樹の代に日向延岡へ転封となったあと延岡の内藤家に伝来。
  • 明治後、日清戦争時は東京深川木場の鹿崎某氏の所蔵、のち井上元侯爵家に移る。
  • 昭和12年5月25日旧国宝指定。井上三郎氏所蔵。
  • 昭和27年11月22日新国宝指定。
  • その後岡山の岡野多郎松氏所持。
  • 岡野勝野氏を経て大阪府の法人所蔵へ。






写し  

堀川国広による写し  

名物庖丁正宗の写し  

短刀
国広
八寸四分半

  • 慶長14年頃の作

名物庖丁正宗の写し  

脇差
銘 洛陽住藤原国広 慶長十五年五月日
一尺九分

その他  

荏柄天神社の庖丁正宗  


一尺三寸七分
荏柄天満宮所蔵

  • 鎌倉の荏柄天神社に伝わったもので、「庖丁正宗」であるとされる。
  • 過去、靖国神社遊就館で展示されたことがある。
  • 平造り、差表に天蓋、梵字、剣巻き竜。裏に梅の老木の透かしが入っている。生なかご、無銘。
  • 「包丁正宗」または「北条正宗」と呼ばれる。
    梅の花木の彫り物は江戸期になってから始まったものとされ、年代的に正宗作とするのには無理があるとされる。