同田貫(刀工)

同田貫(どうだぬき)  

古刀末期に肥後で起こった刀工集団
肥後熊本を領した加藤清正のお抱え刀工
清正好みの豪壮な実践刀を造った

概要  

  • 古刀末期、肥後菊池の同田貫を本拠地とする。
  • 清国と正国は兄弟で、もとは国勝と上野介信賀と名乗った。
  • 延寿派の末流とされる。
  • 肥後熊本を領した加藤清正のお抱え刀工となる。

同田貫清国  

  • もとは国勝という。
  • 加藤清正から「清」の一字を授かったという。ただし銘を「同田貫清国」と切ったものはない。

同田貫正国  

  • 清国の弟で、もとは小山上野介信賀という。
  • 加藤清正から「正」の一字を授かったという。「肥後州同田抜」「九州肥後同田貫藤原正国」「肥州菊池住信賀」「菊池住同田貫上野介」
  • 慶長18年11月19日没

「同田貫」の由来  

  • 諸説あり定まらない。
    1. 【村名】同田貫の嫡流小山家所蔵の系図は、小山同田貫正国の子、秀朝が書いたものでそれには「肥州同田貫荘」とある。
    2. 【稗方】同田貫の子孫小山東氏によると、同田貫鍛冶の発祥地は菊池市稗方であるといい、同田貫屋敷と伝えられるところがあるという。
    3. 【斬れ味】田の畦で試し切りをした際に、死体を両断し田んぼまで貫いたためという。
    4. 【延寿鍛冶の別称】菊池氏没落後に延寿鍛冶も離散し、亀ノ甲にいったものが小山同田貫と称したという。
    5. 【道田郷】鹿島神宮を尊崇するあまり、同社の摂社である道田郷(みちた)の鉾明神にちなみ道田貫と称したという。※そもそも音が異なる


同田貫(どうだぬき)と胴太貫(どうたぬき)  

  • 「同田貫」は一般に「どうたぬき」と濁らずに呼ばれる。
  • これは小池一夫原作・小島剛夕画の「子連れ狼」に登場する主人公拝一刀(おがみいっとう)が使用した架空の刀「胴太貫(どうたぬき)」によるものとされる。往年の名優萬屋錦之介の主演により、1973年~1976年にかけてTV時代劇として放送され人気を博した。
    1974年~1977年に放送されたTV時代劇「破れ傘刀舟悪人狩り」でも主人公叶刀舟(かのうとうしゅう)が同様に「胴太貫」を使用する。こちらも主人公を演じたのは萬屋錦之介である。
  • つまり、架空の刀「胴太貫(どうたぬき)」と実在する刀工名「同田貫(どうだぬき)」を混同したものである。
  • しかし、刀工集団「同田貫」は地名から取られており、「どうだぬき」と濁るのが正しいという。


一派  

  • 同田貫兵部
  • 同田貫又八
  • 同田貫右衛門
  • 同田貫上野介

幕末  

  • 大和守正勝:正国直系子孫。薩摩新々刀
  • 宗広:大和守正勝の子「肥後国住延寿太郎宗廣」
  • 同田貫正次:水心子正秀門人。

天覧兜割り  

  • 同田貫の名を世に知らしめたのは、明治19年(1886年)11月10日に行われた試し切りである。
  • 東京府麹町区紀尾井町(現千代田区)の伏見宮貞愛親王邸に明治天皇の行幸があり、そこで弓術、鉢試し、席画、能楽、狂言が催された。
  • 「鉢試し」は刀、槍、弓で行われた。刀は榊原鍵吉(直心影流)、逸見宗助(立身流)、上田馬之助(鏡新明智流)が行っている。榊原は幕府の講武所剣術教授方で明治維新期に撃剣興行を催したことでも知られ、逸見と上田は最初の警視庁撃剣世話掛に採用された人物であり、いずれも当時一流の剣術家であった。
  • このとき直心影流の榊原鍵吉は「同田貫正次」を用いて、明珍作の十二間筋の兜に切り口3寸5分深さ5分斬り込みを入れ、伏見宮から金10円が下賜された。

著名刀  

七星
三浦啓之助(本名 佐久間恪二郎)所持。二尺三寸。中心に「七星」と金象嵌。父佐久間象山とともに京都入り。父の死後新選組に入隊。のち脱退し江戸に戻り、刀は有馬某に譲ったという。
鍋割り
永田正吉所持の同田貫正国作の刀。家康が高天神城を攻めての退却中、一言坂で武田方数名が道を遮った。家康の道案内をしていた永田正吉がそれに向かって突進し、鍋のような兜をかぶっていた兵を兜もろとも切り伏せた。家康が以後鍋割と呼ぶがよろしかろうといったので号す。刃長二尺三寸九分。重ね三分。差表に「九州肥後同田貫藤原正国」、裏に「八月日」と在銘。
一言同田貫
安永8年(1779年)12月、旗本の窪田某が銘をあてたら進呈すると言ってだしてきた刀を、幕臣で兵学者の平山子竜(平山行蔵)がみごと当ててしまった。窪田は武士に二言なしといって与えるとともに、「一言」と名づけたという。平山子竜は、軍学・槍術・柔術・居合・砲術・水泳・馬術・弓術・棒術など武芸百般に通じ、さらに儒学・農政・土木などにも通じたという。
  • 他の現存刀
銘「九州肥後同田貫藤原正國/南無妙法蓮華經浄池院殿清正公大神儀」熊本県指定有形文化財。
脇差
銘「九州肥後同田貫上野介」刀身表には蓮華上にサ(観音)サク(勢至)の梵字を彫り、裏には胡摩箸にウーン(愛染明王)の梵字を刻む。熊本県指定有形文化財。
銘「九州肥後同田貫上野介」個人蔵。初代正国作。玉名市指定の重要文化財
  • 玉名市立歴史博物館所蔵(生森基哉夫妻寄贈)
    • 初代正国作:68.7cm
    • 清国作:69.5cm
    • 脇差11代宗春作:31.7cm
短刀
銘「九州肥後同田貫正国」刃長九寸八分強、反り一分五厘。